
米財務長官が円安是正に乗り出す
相場の波動を見ると、2026年6月22日の7万2831円という最高値を付けた後、いま現在も調整局面が続いています。日柄から見て、2カ月後の8月22日、3カ月後の9月22日は重要で転換点になる可能性があると指摘してきましたが、どうやら9月下旬が相場の転換点となりそうです。
今、相場は「三角保ち合い」の頂点に向かっており、そこに達すると株価は上か下かに動きます。この矢印の頂点の近辺を点線で下に下ろすと、ちょうど9月末なのです。もう1つ、9月に入ってから相場の流れを決定的に変えるものが出てきました。それが円高です。
9月4日までは円安株高が続いてきましたが、米国のベッセント財務長官が政府、日銀に対して、利上げの加速とリフレ政策からの転換、円安進行を止めよといった、非常に具体的な要求してきています。
これを受けて、円ドル相場は直近のピークが163円近辺でしたが、一気に152~153円まで円高が進んだのです。
これが株式市場や日本経済にどのような影響を与えるのかを見ていく必要があります。円高で世の中がどう変わるか、一時的なものなのか、まだわかりません。ただ、ベッセント財務長官が8日にテキサス州の大学で行った講演では、円安投機筋に向けて「円安に賭けてみろ。私が胴元だ」というメッセージを出しました。
自分が相場の主導権を握って、今後は円高ドル安に持っていくという形で、投機筋に挑戦状を突きつけたのです。これは日本の円安、そして長期金利の上昇に対するベッセント財務長官の危機感の表れだと思います。
日本の金利が上昇し、長期金利の利回りが3%を超えてくると、機関投資家が米国債を売って、日本国債に乗り換える動きが出てきます。これは米国の長期金利上昇の原因になり、利払い費の増加につながりますからベッセント財務長官としては困ります。
おそらく日本の急速な金利上昇と円安を、できるだけ緩やかにする、あるいはストップさせようという動きですから、どの水準かはわかりませんが、円ドル相場を円高に誘導しようとしていることはわかります。
ですから「ミニ・プラザ合意」がやってくるかもしれません。この場合、為替は140円台、130円台まで行く可能性があります。その為替の変化に対して、日経平均は調整色を強めています。
しかし、前述のように「三角保ち合い」のゾーンの中で動いています。果たして、これが上に行くか下に行くか。これは日柄から見て9月末までにわかりそうです。
株価が上に行くか下に行くかを決める1つの要因として、ベッセント財務長官の発言以外に9月15日、16日のFOMC(米公開市場委員会)、17日、18日の日銀の金融政策決定会合があります。ここでFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げするかどうか。
日銀はおそらく0・25%の利上げをしてくるでしょう。日銀が利上げしてFRBが利上げしなかった時には、日米金利差の縮小もあり、さらなる円高となります。
足元では152円近辺の攻防が続いていますが、これが波動から見て、半値押し水準です。直近の円の高値が昨年4月22日の139円89銭、そこから今年7月24日の163円95銭まで、ほぼ24円円安になっていますが、この半値戻しがちょうど152円なのです。ここが攻防の分岐点となります。
ここからさらなる円高になるか、152円近辺が円高のピークとなるかは、米国のFOMC、日銀の金融政策決定会合前後で決まるでしょう。
為替の動きによって日本の株価の動きは変わってきますが、この9月を契機に、11月の米中間選挙に向かって日本株は下落調整局面が続いて、おそらく底入れ、二番底を入れる形になるだろうと見ています。
しかし、152円の攻防の分岐点でベッセント発言、日銀の利上げを織り込んでいる可能性もあります。仮に織り込んでいて、利上げをしても今以上の円高にならないと日本株はそれほど下がりません。
三角保ち合いの頂点を上に行く可能性が出てきますから、年内に7万円の大台を回復することになります。ただし、6月22日の7万2831円を奪回、突破する勢いはないという動きだと見ています。
なぜなら、今まで想定していなかった円高が当面続きそうですから、円安メリットで上がっていた株は当然上値は重い、あるいは下落するからです。
円高になって以降の狙い目の投資セクターは、1つは内需関連です。もう1つは、AI革命相場が6月22日に天井を付けて終わっていますが、下落調整局面が9月末くらいまでに底入れして、業績見通しのいい銘柄は反発してくる。
ですから、AI革命関連は個別物色相場になります。上がるものと上がらないものに分かれてきます。一方、内需関連の本命は防衛関連ですが、これまでにかなり相場が出たので今も調整が続いています。
三菱重工業、川崎重工業、IHI、JX金属などが代表ですが、多少戻しても新高値を取るほどのエネルギーは溜まっていません。
バリュー株では内需関連は食品などの業績のいい銘柄は上がってくると思いますが、本命は前回も説明した海運です。日本郵船、商船三井、川崎汽船が牽引するバリュー株の再浮上相場があり得ます。
海運は地政学リスクの拡大で運賃が上がり、船不足になっています。円高はマイナスですが、多少の円高であれば問題ないと思います。
また、高市政権の内閣改造は小幅なものになりそうですが、政権の安定度が保たれるということで、株価にはマイナスになりません。その安定度で、積極財政、消費税減税、国防の強化といった政策を、さらに前進させることになるでしょう。
そしてこの改造を、高市首相が来年の自民党総裁選で再選するための布石にする。改造後の支持率は上がるのではないかと見ています。