リコーは9月18日、インクジェットヘッドの安定供給体制の強化に向けて、厚木事業所(神奈川県厚木市)敷地内に新棟を建設すると発表した。新棟は2026年11月の着工、2028年度上期の竣工を予定している。
産業印刷や機能印刷の拡大に備え供給基盤を強化
近年、サインディスプレイ、ラベルパッケージ、テキスタイルなどの産業印刷分野では、多品種・小ロット化、短納期化、環境負荷低減へのニーズの高まりを背景に、アナログ印刷からデジタル印刷への移行が進んでいる。
また、電子回路・電池・車体塗装など高精度な液体吐出技術を活用する機能印刷への展開も広がっている。こうした用途拡大を見据え、インクジェット技術の中核部品であるインクジェットヘッドについて、中長期的な需要に柔軟に対応できる生産・供給基盤を強化する。
同社では、超精密加工技術や材料技術を強みに、高性能なインクジェットヘッドの開発・生産を行ってきた。インクジェットヘッドの製造にはミクロン単位の高い精度が求められ、品質の維持・向上には熟練技能者の経験やノウハウも重要な役割を果たしている。
一方、需要の変動や拡大局面では供給能力が制約となる場面もあったことから、お客様のニーズにより機動的に応えるため、生産能力と供給安定性の双方を高めることが課題となっていました。
熟練技術とAIを融合した次世代生産拠点を構築
新棟は厚木事業所の既存敷地内に4階建て延床面積約3万9000平方メートルの建屋を建設し、インクジェット事業を支える中核生産拠点として位置づける。
インクジェットヘッドの生産・供給能力を強化するとともに、これまで培ってきた超精密加工技術や品質づくりのノウハウをデータとして蓄積・活用。自動化技術やAI、デジタルマニュファクチャリングと融合することで、高品質・高生産性・高い供給安定性を兼ね備えた次世代のモノづくり基盤を構築する。
また、新棟には厚木事業所内の複数の建物に分かれていたモノづくり機能を一棟に集約。リコーが長年培ってきた超精密なモノづくり技術と品質づくりの力を強みに、さまざまな種類の製品を柔軟につくることができる自動化ラインやロボットを導入し、高い生産性と柔軟性を備えたモノづくりを実現するという。
さらに、熟練技能者が培ってきた経験やノウハウをデータとして蓄積し、AIを活用して生産条件や品質の判断に生かすことで、熟練の技を次世代へ継承するとともに、安定した品質を再現できるモノづくりへと進化させていく。
加えて、生産設備、品質、物流などの情報をデジタルでつなぎ、自動搬送なども活用することで、工場内のモノと情報の流れを最適化し、需要の変化にも柔軟に対応しながら、高品質な製品を迅速かつ安定して供給できる生産体制を構築する。
新棟の稼働により、インクジェットヘッドの生産能力を将来的に現在の2倍以上まで拡大できる体制を整備する。需要動向に応じて生産能力を機動的に活用するとともに、高品質な製品の安定供給とリードタイム短縮を通じて、顧客の事業成長を支える供給基盤を強化していく考えだ。
