リコーと三菱電機は6月3日、最新AI技術を活用したDX実現のための価値共創拠点「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO」(以下「RICOH BIL TOKYO」)内のワークショップルームに、三菱電機の感情推定センサー「エモコアイ」を搭載したマルチモニタリングデバイス「エモコセンサーユニット」を導入し、より創造的なワークショップの実現を目指す共同実証実験を開始すると発表した。
“集中度”を可視化して会議の高度化につなげる
働き方の多様化やリモートワークの普及が進む近年、生産性向上を目指す各企業では、会議やワークショップの質の向上が重視されている。一方で、参加者の心理状態や集中度を従来手法で定量的に把握することは難しく、ファシリテーションの効果を客観的に評価するには課題が残されていた。
そうした中でリコーは、はたらく人が単純作業から解放され、人ならではの想像力を発揮し、達成感や充足感を得られる社会の実現を目指し、DXやAI活用を推進しているとのこと。同社が2024年2月にリニューアルオープンさせたRICOH BIL TOKYOのワークショップルームでは、AI技術を活用し、空間内の発話内容をリアルタイムに付箋形式で分類し大型画面に投影するディスカッション支援や、まとめ資料の自動生成が可能に。またAIエージェントの活用により、関連情報を画面上に自動提示することで、参加者の発想を拡張し、多様で豊かなアイデア創出を支援しているとする。
一方の三菱電機は、同社独自のデジタル基盤「Serendie(セレンディ)」により、データを活用した新価値創出に取り組んでいる最中。2025年10月には、エモコセンサーユニットを用いて集中度や眠気度などの“人の感情”を可視化した「感情推定データをはじめ、体動数、睡眠レベルなどのバイタルデータ、温度や湿度、CO2濃度などの環境データを配信する「エモコ分析サービス」の提供を開始していた。また新たなサービスの開発に向けては、同社が有する共創空間「Serendie Street Yokohama」において、オフィスワークにおける参加者の集中度や眠気度などの感情を可視化した「感情推定データ」の取得や活用に関する社内実証を進めているという。
そうした両社は今般、RICOH BIL TOKYOを舞台に、ワークショップ参加者の感情推定データをリアルタイムで計測することで、ファシリテーションの有効性をデータとして定量化し、次世代型ワークショップの実現を目指す共同実証実験の開始を発表。ワークショップルーム内にエモコセンサーユニットを9台設置し、参加者の集中度や場の活性度などをリアルタイム計測することで、ファシリテーションと参加者の心理状態との相関を定量化し、ファシリテーターが進行方向の改善に向けて取得データを活用できる仕組みの構築に取り組むとした。また実証期間を通じて、ファシリテーションの違いによる感情変化のデータ取得精度も検証するといい、次世代型ワークショップの確立と実証結果を踏まえたサービス事業化を目指すとしている。
なお今回の実証実験でリコーは、ワークショップ空間の提供に加え、AIを活用したワークショップ設計・運営およびファシリテーションの実施、および感情推定データを活用したワークショップの高度化検討を進めるとのこと。一方でエモコセンサーユニットを提供する三菱電機は、データの取得やSerendieを用いたファシリテーションと心理状態の相関に関するデータ分析支援を行うという。
実証期間は2026年7月までの約2か月間を予定。三菱電機はこの実証実験が終了後、Serendie Street Yokohamaで実施するワークショップ参加者の感情推定データ取得・活用に関する実証も行う予定だとする。また各検証結果を用いて、両社協力のもと感情推定データを活用したオフィス向け新サービスの共同開発も進めていくとしている。

