このロボット関連ニュースのまとめ

・エプソンが立体物直接印刷ソリューションを「CONTOURJET」ブランドで展開
・PrecisionCoreプリントヘッドと産業用6軸ロボットで曲面や凹凸へ直接印刷
・大型・長尺ワークや多色印刷に対応し、多品種少量生産と環境負荷低減を支援

セイコーエプソンは9月16日、独自のインクジェット技術とロボティクス技術を組み合わせた立体物直接印刷システムを、新ブランド「CONTOURJET(コントアジェット)」として展開することを発表した。

装置だけでなく、インク、関連ソフトウェア、導入支援、保守サービスを含むトータルソリューションとして提供する。スポーツ用品、自動車部品、工業製品など、複雑な形状を持つ製品への加飾需要を取り込み、グローバル市場での展開を加速する。

インクジェットと6軸ロボットで立体物へ直接印刷

CONTOURJETは、エプソンのPrecisionCoreプリントヘッド「S800」と、同社の産業用6軸ロボットを組み合わせた立体物直接印刷ソリューション。S800は、コンパクトな形状と高精度なインク吐出性能を両立したプリントヘッドで、600dpi×600dpiの高解像度印刷に対応する。

  • CONTOURJETのイメージ図

    CONTOURJETのイメージ図 (出所:セイコーエプソン)

また、6軸ロボットと独立昇降機構を組み合わせることで、ワークの形状に応じてプリントヘッドの位置や姿勢を変更し、曲面や凹凸、溝、湾曲部などへ直接印刷することを可能とした。

独自の軌跡制御技術と画像処理技術も活用し、立体物の表面へプリントヘッドを沿わせながら、印刷位置やインクの吐出を制御する。平面への印刷を前提とした従来の印刷装置では対応が難しかった複雑な形状にも、高品質かつ高精度な加飾を可能とした。

  • 立体物印刷サンプル

    立体物の印刷サンプル (出所:セイコーエプソン)

大型・長尺ワークへの印刷に対応

新ブランドの展開に併せる形で機能強化も実施。リニアモーター駆動と可搬重量を高めたロボットを採用することで、従来よりも大型・長尺のワークへの印刷にも対応した。スポーツ用品や自動車部品、工業製品など、形状や寸法が異なる幅広い製品への適用を想定したものだという。

また、フロントアクセスを重視した装置設計を採用し、プリントヘッドの交換をはじめとするメンテナンス作業を行いやすくする工夫も採用したとする。

生産現場では、印刷性能だけでなく、品種切り替えや保守に伴う停止時間を短縮することも設備の生産性を左右する。装置前面から主要部品へアクセスできる構造とすることで、日常的な保守作業の負担を軽減することを目指したとする。

ホワイトインクや透明インクによる多色印刷を実現

CONTOURJETは、ホワイトインクと透明インクであるバーニッシュを含む多色印刷にも対応する。ホワイトインクを下地として印刷することで、色の濃い素材や透明素材に対しても、発色を確保しやすくするほか、透明インクを利用することで、表面の光沢や質感を部分的に変えるなど、色の印刷だけでは難しい加飾表現も可能とした。同社によると、パートナー企業との連携を通じ、印刷する製品の用途や素材に応じたインクや運用方法の提案も行っていくことで、顧客企業の新たな価値創出の支援につなげたいとしている。

加飾工程をアナログからデジタルへ

製品の立体加飾はこれまで、アナログによるところが大きく、製品やデザインごとに版や治具、専用材料を用意する必要があり、品種数の増加とともに版の製作や保管、交換、位置調整に要する作業も増加していた。

CONTOURJETは、デジタルデータに基づいて必要な場所へ必要な量のインクを直接吐出するため、版や専用の加飾材料を必要としない。デザインを変更する場合も、印刷データを切り替えることで対応できる。試作品や限定品、顧客ごとにデザインを変えるパーソナライズ製品など、多品種少量生産への適応力を高められる。人手に依存していた立体物への加飾工程をロボットで自動化することで、作業者による仕上がりのばらつきを抑えるほか、省人化や生産スペースの縮小にもつながるという。

日本と欧州の2拠点で評価・検証を支援

なおエプソンは、長野県諏訪郡富士見町の「インクジェットイノベーションラボ富士見」において、CONTOURJETを用いた立体物への印刷技術の研究開発や評価・検証を進めてきたとするほか、独ノイスに開設した「Epson Experience Center」では、欧州の顧客が実際の基材を用いてテスト印刷や評価を行える環境を整備したとする。

同社では、これらの2拠点をベースに蓄積してきた技術やノウハウを活用するとともに、パートナー企業との協業を進め、立体加飾市場における事業展開を加速することを目指すとしており、手始めに9月23日から25日まで、米国ラスベガスで開催される印刷業界向け国際展示会「PRINTING United Expo 2026」に出展し、CONTOURJETで印刷した立体物のサンプルなどを紹介する予定だとしている。