この半導体ニュースのまとめ

・エプソンと住友化学が圧電薄膜材料の性能向上と応用拡大に向け技術提携
・住友化学の材料・薄膜形成技術とエプソンのMEMS・精密デバイス技術を融合
・初期の重点分野としてインクジェットプリントヘッド関連技術への応用を推進

セイコーエプソンと住友化学は8月18日、圧電薄膜材料の性能向上と、電子部品・機能部品などのデバイスへの応用拡大に向け、技術提携を開始したことを発表した。

住友化学が有する圧電薄膜材料および薄膜形成技術と、エプソンが培ってきた圧電材料技術や精密デバイス技術を組み合わせることで、圧電材料のさらなる高性能化と、その特性を生かした新たなデバイスへの応用を目指す。初期の重点分野として、インクジェットプリンターのプリントヘッド関連技術への応用に向けた共同開発を進める予定としている。

電気エネルギーと機械的な動きを相互変換

圧電材料は、電圧を加えることで伸縮や変形といった機械的な動きを発生させる一方、外部から力を加えることで電気信号を生み出す性質を持つ。電気エネルギーと機械エネルギーを相互に変換できることから、インクジェットプリントヘッドや各種センサをはじめ、幅広いデバイスに利用されている。

インクジェットプリントヘッドでは、圧電素子へ電圧を加えて変形させ、その動きを利用して微細なノズルからインク滴を吐出する。圧電薄膜の特性を高めることで、インク滴の吐出量や速度をより精密に制御できるようになり、印刷品質や生産性の向上、プリントヘッドの小型化などにつながる可能性がある。

近年は、電子部品や機能部品に対する高性能化や小型化の要求が高まるとともに、圧電材料の用途も多様化している。材料単体の性能向上だけではなく、デバイス構造や製造プロセスを含めて最適化する必要性が高まっており、材料技術とデバイス技術を連携させた開発が重要となっている。

住友化学の薄膜形成技術とエプソンのMEMS技術を融合

住友化学は、半導体材料事業を通じて蓄積してきた結晶成長のノウハウや、材料の加工・評価技術を基盤として、高度な圧電材料の薄膜形成技術を有している。

圧電薄膜の性能は、材料組成だけでなく、結晶構造、配向性、膜厚、成膜時のプロセス条件などにも左右される。材料の特性を安定して引き出すためには、薄膜の形成から加工、評価までを一貫して制御する技術が求められる。

一方のエプソンは、圧電材料に加え、精密微細加工やMEMS技術、材料・プロセス技術、精密デバイスの開発・製造技術、評価解析技術を培ってきた。

両社は今回の協業で、これらの技術を持ち寄ることで、圧電薄膜材料の特性を最大限に引き出すことを目指す。材料の改良結果を実際のデバイス設計や評価へ反映し、そこで得られた知見を再び材料開発へ戻すことで、材料とデバイスを連携させた開発サイクルを構築する考えとみられる。

インクジェットプリントヘッドから応用を開始

共同開発では、インクジェットプリンターのプリントヘッド関連技術を初期の重点分野に位置付けている。圧電薄膜材料の性能を高め、プリントヘッドの構造や製造プロセスと組み合わせて最適化することで、吐出性能や制御精度の向上、省電力化、小型化などにつなげることが期待される。

また、圧電材料はインクジェットプリントヘッド以外にも、振動や圧力を検出するセンサ、超音波デバイス、アクチュエータなどにも展開可能であることから、今回の提携を通じて圧電薄膜材料の可能性を広げ、新たなデバイスへの応用と価値創出につなげていくとしている。