量産に対応可能な強溶剤対応インクジェットプリントヘッドを発売
セイコーエプソンは10月9日、工業応用分野の量産用途に適した強溶剤対応インクジェットプリントヘッド「S3200-S1」を2025年度内に発売すると発表した。
同製品は、同社の要素技術やMEMS製造技術を融合させて生み出された次世代インクジェットプリンティング技術「PrecisionCoreプリントヘッドシリーズ」の新たなラインアップ。NMP、DMSO、DMF、DMIなど多様な強溶剤に対応し、ペロブスカイト太陽電池を構成する複数の機能層の成膜など、先端分野での活用に対応することが可能なほか、従来の強溶剤対応プリントヘッド「S800-S1」(1.33インチ)に対して、4.73インチへと広幅化を実現。ヘッド搭載数の削減による装置構成の簡易化を可能とし、顧客の量産装置化のさらなる推進に貢献することが可能だという。
また、高精度な膜厚均一性を600dpiの解像度による印刷で実現できるため、安定した品質を提供することが可能だともしている。
韓国スタートアップが先行してペロブスカイト太陽電池の量産化検証に活用
すでに同社が出資している、多様な産業領域において活用可能なインクジェット技術を有する韓国発スタートアップ「Gosan Tech」が先行する形で、S800-S1を用いる形でインクジェット方式の利点を生かしたペロブスカイト太陽電池の量産化検証を進めているとのことで、今後、今回発表されたS3200-S1を導入することで、量産装置化を加速させていく予定だという。
Gosan Techのキム・グァンス社長によると、エプソンのPrecisionCoreプリントヘッドは、溶剤に対する耐久性と安定性の面で優れており、均一で精密な薄膜形成に最適化されている点が強みとなっているとのことで、「今後もエプソンとの共創を通じて、インクジェットを活用した太陽電池産業の革新を主導できるよう最善を尽くしていきたい」とコメントしている。
なお、エプソンでは市場の成長が期待されるペロブスカイト太陽電池市場に向けてS800-S1とS3200-S1を提供していくことで、新プロセスや材料の研究開発から量産向けの装置まで幅広く支援し、インクジェット技術による新たな工業・産業応用分野を切り開いていきたいとしている。
