
『ニアワセ+ユーチョク』の利用が増加
─ まずは足元の経営環境ということで伺います。2025年度(25年12月期)業績は過去最高益を更新しましたね。
中山 25年度は連結売上高3200億円(前年比8.5%増)と、売上高が創業から初めて3000億円を突破しました。経常利益は225億円(同12.4%)で、過去最高益を更新することができました。
【 370兆円の官民投資の虚像 】ABC経済研究所 代表エコノミスト・熊野英生
これは過去から取り組みを続けている取扱商品の拡大や在庫商品の拡大、物流機能の強化、デジタル活用など、他社が真似できない圧倒的な即納体制と独創的なサービスをお客様に提供できている結果だと思います。
特に最近は、EC(電子商取引)経由の売上が伸びていまして、当社の特徴である『ニアワセ+ユーチョク』(荷物詰め合わせ+ユーザー様直送)の利用が増えています。
─ 『ニアワセ+ユーチョク』というのは、どんなサービスですか。
中山 例えば、皆さん、インターネット通販でお買い物をする時、通販会社様からユーザーの皆さんのお手元に商品が送られてきますよね。
この時、裏では通販会社様がわれわれ問屋へ商品をご注文し、われわれ問屋が通販会社様へ商品をお届けし、それをユーザー様のもとへお届けするわけです。そうすると、商品を配送する時の配送や梱包が2回になり、面倒くさいわ、納期が遅れるわ、複数回の配送によって環境負荷もかかってしまいます。
それを当社が、当社の物流センターでニアワセして荷物を詰め込み、ユーザー様に直接商品を出荷すると。それにより、納期は半減、梱包資材も配送運賃も半減でき、環境負荷も低減できる。問屋である当社から最終ユーザー様へ商品を直送することで、売上が拡大しています。
─ なるほど。出荷の手間も減るし、環境負荷も小さくなると。
中山 そうなんです。ですから、今はネット通販で工具か何かをご購入なさった時に、自宅に来た商品をよく見たら、出荷元がトラスコ中山だったということも珍しくありません。
これは例えば、われわれが薬の問屋だと考えてもらうと、分かりやすいかもしれません。要するに、薬を病院や薬局に送るのではなく、患者さんに直接送るというイメージです。患者さんはいちいち薬局に行かなくてもいいし、早く届くと。
─ すでに薬の配送も行っているんですか。
中山 いや、当社では薬は扱っていません。あくまでも、これは例え話です。
─ これはサプライチェーン(供給網)全体の改革にもつながってくる話ですね。
中山 ええ。これはデジタルの話や物流の話でもそうだと思うんですが、皆さん、改革をしようとなった時に、自社の範囲内でどのように効率化するかという話になりがちです。
でも、本当はもう一歩踏み込んで、仕入先様や販売店様のことまで考えて、どうやったらサプライチェーン全体でコストを下げられるかというところまで考えていかないと、真の改革にはつながらないと思います。自分のところだけ考えていたのでは、大した改革にならないような気がします。
おかげさまで、すでにユーチョクの出荷個口数は848万個、売上高は475億円(いずれも25年度)になっています。3200億円のうち475億円ですから、14.8%で相当な比率ですよね。今期は1130万個まで伸びる計画となっておりまして、こんなに大規模にやっている同業者はどこにもないと自負しています。