
PBは顧客の来店動機を生み、差別化を図る重要な戦略
「十数年前からエディオンさんとお互いに話をしてきて、今回いよいよ、そのタイミングが来たということ。両社の強みをもって事業を発展させていくことができれば、さらなる成長を図ることができるのではないか」
こう語るのは、家電量販店最大手・ヤマダホールディングス(HD)会長兼CEO(最高経営責任者)の山田昇氏。
広島発祥で西日本を地盤とするエディオンとの経営統合を決めたヤマダHD。経営統合が実現すれば、売上高約2.5兆円の巨大グループが誕生する。
人口減少・少子高齢化の時代に入り、市場縮小が続く国内市場。近年は、インターネット通販などが普及し、顧客の購買行動が大きく変化。家電量販店業界を取り巻く環境は厳しい。
このような環境変化を受け、近年は各社とも家電製品などの販売だけでは他社との差別化ができないと判断。ヤマダHDは家電事業をコアに住宅や環境などを合わせた『くらしまるごと』戦略を推進。エディオンもリフォーム事業を強化しており、山田氏も「事業の親和性が非常に高い」と考えて、今回の経営統合という判断につながった。
今回の統合によって考えられるのは、規模を活かしたスケールメリット。そして、両社が保有する顧客データを活用したPB(プライベートブランド=自主企画)商品の開発力強化も期待される。
国内市場が成熟しているのは、他の小売業も同じ。例えば、繊維業界は成熟化した業界の代表でもあるが、ユニクロ(ファーストリテイリング)が成長しているのは、商品の企画から生産、販売までを自社で担うSPA(製造小売業)化を進め、功を奏しているからだ。SPA化で成功した企業には、家具チェーンのニトリホールディングスもある。今後は家電量販店においても、同様にSPAへの転換が求められるのではないか。
ライバルのビックカメラは今春、PB戦略を刷新。社長の秋保徹氏は「ビックカメラにしかない、ビックカメラだからこそ生み出せる独自の商品が必要」と語り、今まで以上に顧客視点・生活者視点に立った商品開発を進める方針。ノジマは日立製作所の家電事業を買収した。
他のコンビニ業界やスーパーマーケット業界なども含めて、かつては〝安かろう・悪かろう〟という印象のあったPBだが、今では各社とも品質が向上。PBは顧客の来店動機を生み、他社との差別化を図る重要な戦略の一つになっている。
今後の小売業が生き残りを図るには、〝売る力〟だけでなく〝つくる力〟が求められる。今回のヤマダとエディオンの経営統合にも、そうした商品力強化を期待する向きもありそうだ。