外資系人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(ヘイズ・ジャパン)は8月25日、製造業界の人材動向をまとめた「製造業界人材動向レポート2026」を発表した。2030年までに製造業の中核スキルの40%が変化する見込みで、製造業企業の63%が「スキルギャップ」を組織変革における最大の障壁と回答している。
同レポートは、ヘイズが業界アナリストのEverest Groupと共同で実施したグローバルの分析データをもとに、日本市場の主要トレンドや課題、人材戦略への影響に焦点を当ててまとめたもの。
ロボティクスの進化で新たな職種も生まれている
ロボティクスやAIの導入については、人材需要そのものを減らすのではなく、求められる人材の質を変化させていると指摘。職種を「自動化による代替」「職務の高度化」「新規創出」の3方向に再編しているとしている。
組立作業員や品質検査担当者、資材搬送担当者などの反復業務は自動化が進む一方、生産計画担当者、設備保全技術者、品質エンジニアの役割は生産性向上に伴って高度化。AI活用型製造エンジニアやオートメーション・ロボティクスエンジニア、デジタルツインスペシャリストといった新たな職種も生まれている。
国内でも自動化システムを設計・統合・保守できるエンジニアの需要が大幅に高まり、企業の採用部門は機械・電気・ソフトウェアの専門性を兼ね備えたマルチスキル人材を優先して採用しているという。
人材の奪い合いは業界の枠を越えて広がっている。半導体工場や防衛プログラム、EV事業に加え、データセンター関連のインフラ投資も、電子・ソフトウェア・自動化エンジニアという重複する人材層からの採用を後押ししている。
国内では自動車、電子機器・半導体、化学・製薬、インフラ・建設(データセンター関連)の4分野で人材需要が高い水準にあり、企業は人材の再教育・スキル転換やグローバル採用を通じて確保を進めている。
米国では製造業企業の71%が人材の定着・確保に課題を抱えていると回答しており、同様の人材獲得競争は世界的に見ても高い水準にあるとされる。
いわゆる「2025年の崖」に伴う基幹システム刷新の期限が迫るなか、エンジニアリングとITを兼ね備えたハイブリッド人材への需要も急速に高まっている。企業は従来型の採用モデルからの脱却や既存社員のリスキリング、柔軟な就労体制の導入を進めているという。 Everest Groupの分析では、デジタル化への緊急対応に加え、人口減少による組織内知識の喪失、半導体・防衛・バッテリー分野への投資に伴う戦略的自立性の追求、カーボンニュートラル目標を背景としたグリーントランジションの加速という4つの要因が、日本企業の人材戦略見直しを促していると指摘されている。
デジタル・IT職種を対象とした採用アウトソーシングの導入も
正社員採用の難航を受け、契約型人材の活用や、デジタル・IT職種を対象としたプロジェクト型RPO(採用アウトソーシング)の導入も進む。
日本市場には「言語の壁」「保守的な採用慣行」「安全保障上の制約」という固有の課題があり、グローバル人材の活用や柔軟な人材活用モデルの導入を制限する要因になっていると指摘されるが、こうした制約を踏まえてもなお、日本のRPO年間管理採用数は2024~2028年に年平均14~16%(4330人から6880~7880人へ)、CWM管理対象支出は年平均17~19%(1.8億ドルから3.3~3.5億ドルへ)で拡大する見込みという。
RPO年間管理採用数の成長率は、ドイツやフランスと比べても非常に高い水準にあるとしている。なお、製造業の新規求人は2026年6月時点で前年同月比10.4%増(厚生労働省統計)となっている。


