
「人が足りない」と嘆く前に、チームの「時間の使い方」を見直そう
AI(人工知能)の進化も相まって、現在は業務の進め方もビジネスの競争環境も大きく変わりつつあります。この変化のスピードにそれぞれの職場が追いつけなければ、あっという間に企業は競争力を失いかねません。
現場のマネジャーには、もはや中間管理職としての調整役ではなく、自部署の「経営者」に変貌することが求められています。マネジャーが既存領域の効率化と新規領域への挑戦を同時に進めていけるかどうかが、今後の事業成果を左右すると言ってもよいでしょう。
しかし、われわれが多くのマネジャーと対話する中で共通して出てくるのは、「人が足りない」という切実な声です。この「足りない」には2つの問題が混在しています。単純に人数が足りない「人手不足」と、今後の事業や組織を牽引する人がいない「人材不足」です。特に後者は単に人を増やせば解決できるものではなく、根深い問題になっています。
マネジメントとは、限られたリソースをやりくりして成果を出すこと。ドラッカーは「成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」と説きました。
最もコントロール可能なリソースは「時間」です。人はそう簡単に増やせませんが、メンバーの時間の使い方であれば変えることができます。しかし、多くの組織では時間の使い方が意識されないまま、成果につながらない時間が膨らんでいます。
本書ではチームの時間を成果に直結する「有効時間」、将来につながる「投資時間」、目的を見失った「無駄時間」の3つに分類。時間を単に消費するのではなく、戦略的に活用する考え方を提示しています。その実践ツールが「組織時間設計図」です。
全員が懸命に働いているのに、成果を出しているのはエース社員だけ――そんなチームを見たことはないでしょうか。
設計図を用いて誰の時間を、何に、どれくらい投下するかを可視化。それぞれが独立して動く「足し算型組織」から、一人ひとりの強みを掛け合わせて成果を最大化する「掛け算型組織」への転換を図ります。同じメンバー構成・同じ労働時間でも、マネジャーが時間の使い方と組み合わせをデザインすることで、成果は大きく変わるのです。
いつまでも「人が足りない」と嘆いているだけの職場は、環境変化に呑まれてしまいます。勝敗を分けるのは人の量ではなく、時間の使い方の質に注目したリソース活用です。
日々奮闘するマネジャーの方々に本書を「武器」として活用していただき、今いるメンバーのポテンシャルを最大限に引き出すチームが一つでも増えることを願っています。