日東電工(Nitto)は9月30日、東京本社・支店の移転に伴い10月1日に「inovas TOKYO」を開設すると発表し、新拠点において説明会を開催した。

AI時代だからこそ「顧客との対話」が重要

東京本社・支店は、8月に竣工したばかりのTOFROM YAESU TOWER(トフロム八重洲 タワー、東京都中央区)49階~50階に移転し、49階が執務エリア、50階がinovas TOKYOとなっている。2フロアの延べ床面積は計5500平方メートル、400人強が在籍する。

2016年に全社技術を手がける茨木事業所(大阪府茨木市)にinovas、その後は基盤機能材料事業を担う豊橋事業所(愛知県豊橋市)にイノベーションセンターを設置しており、inovas TOKYOは3カ所目の共創拠点となる。ちなみに、inovasは「Innovation」と、新しさを意味する「Nova」、複数形のsを組み合わせた造語だ。

日東電工 取締役 上席執行役員 CTO 全社技術部門長の片山博之氏は「近年、AIの登場・普及で、生活や産業に大きな変化がもたらされていると同時に、その変化そのものをAIが解決すべき課題として扱うような時代にもなっている。そのような状況を見ると、『AIがあればすべて解決する』という世界になったかのように感じられるかもしれないが、私は決してそうではないと考えている」と話す。

  • 日東電工 取締役 上席執行役員 CTO 全社技術部門長の片山博之氏

    日東電工 取締役 上席執行役員 CTO 全社技術部門長の片山博之氏

そのうえで、片山氏は「むしろこうした時代だからこそ、お客さまとの接点を増やし、対話を深めていくことがこれまで以上に重要になる。お客さまとの対話を通じて課題の本質を捉え、それを日東電工が持つ技術や知見、さらにはパートナーシップと掛け合わせる。そして、研究開発や事業における共創活動へとつなげていく。その実現の場として誕生したのがinovas TOKYOとなる」と説明した。

独自の「共創AI」を活用した新共創ストーリー

inovas TOKYOは顧客とともに課題解決と価値創出を目指す共創拠点と位置付けている。「対話でつなぐ。」をコンセプトに同社の製品・技術と顧客の課題を結び付け、新たな発見や価値の創出を目指す。

inovas TOKYOは“新共創ストーリー”という考え方にもとづいている。同社独自の共創AIを活用し、市場や社会の変化、技術トレンド、さらには顧客との対話から得られる情報をリアルタイムで掛け合わせながら、未来に向けた新たな価値創出の可能性を探索していく。また、顧客が来訪された際には、他拠点の技術者やマーケティング人材など専門性の高いメンバーと同時接続し、議論の質を高める仕組みも導入しているという。

共創AIは、顧客の来訪前に企業情報や来訪目的などの事前情報に加え、技術情報や特許情報などを横断的に解析し、顧客が抱える課題や事業機会の仮説を導き出すものだという。

  • 共創AIで導き出した課題例

    共創AIで導き出した課題例

inovas TOKYOの施設内には映像体験を提供する「シアター」、製品・技術を体感できる「共創ルーム」、商談・ディスカッションを行う「応接室」を設置。展示やデモンストレーションに加え、顧客との対話を深めるための環境を整備している。1日あたり2~3社の来社を見込んでいる。

シアターは、来訪目的に合わせて選択できる3種類の映像コンテンツを用意し、同社の歩みや社会課題への取り組みを紹介。4画面同時投影によるライブディスカッションに対応し、国内外の拠点をつないだリアルタイムの対話を実現するという。

  • シアターの外観

    シアターの外観

共創ルームは同社の幅広い製品や技術を、体感型デモンストレーションを通じて紹介する。顧客が関心を持ったテーマを起点に対話を広げ、課題やアイデアを引き出すことで、新たな価値創出につなげる。

  • 共創ルームでは共創AIを用いて顧客とディスカッションを行う

    共創ルームでは共創AIを用いて顧客とディスカッションを行う

応接室は、50階から東京駅や皇居を望む開放的な空間で、最大20人までの商談やディスカッションに対応。オンライン会議環境も備え、顧客や国内外の拠点との円滑なコミュニケーションを支援する。

ABWを採用し部門横断のコミュニケーションを促進

一方、執務エリアは従来の固定席運用を見直し、ABW(Activity Based Working)を採用し、生産性の高い働き方と組織を超えたコミュニケーションの実現を目指す。

コミュニケーションを取りながら作業を行う「Convergence」、複数人でディスカッションする「Collabo」、プロジェクトや課で集まり作業する「Team Work」、2人で作業を行う「Pair Work」、1人で集中作業する「Focus」、心身を整える「sun santerrace」、打ち合わせ、Webミーティングを行う「Smart Booth」が配置されている。

  • 「Convergence」エリア

    「Convergence」エリア

  • 「Collabo」エリア

    「Collabo」エリア

  • 「Team Work」のデスクは青色だ

    「Team Work」のデスクは青色だ

  • 「Pair Work」のデスク

    「Pair Work」のデスク

  • 「Focus」エリア

    「Focus」エリア

  • 「Smart Booth」エリア

    「Smart Booth」エリア

  • 「sun santerrace」エリア

    「sun santerrace」エリア

  • 「sun santerrace」に設置されているバランスボードで業務を行っていた

    「sun santerrace」に設置されているバランスボードで業務を行っていた

  • 「sun santerrace」エリアにはLOVOTの姿が。名前は「おもち」

    「sun santerrace」エリアにはLOVOTの姿が。名前は「おもち」

片山氏は「茨木事業所のinovas、豊橋事業所のイノベーションセンターを含む3拠点が連携し、対話から課題発見、課題の深掘り、技術融合、さらには共創テーマの創出へとつなげていく。お客さまに『今日は良いものを見せてもらいました』で終わっていただくのではなく『日東電工と明日から何を始めようか』と思っていただけるような場所にしたい」と力を込めていた。