インターネットに依存する傾向が高い大学生ほど、ギャンブル問題を抱えるリスクが高いことを中部大学の研究グループが明らかにした。オンラインカジノへのアクセスなどが若年層にも広まる中、「ネット依存とギャンブル問題」に対して一体的に取り組むべきだとしている。また、大学生になって危険性を教育するのでは遅く、小中高生へ向けてインターネットに潜む問題を教育すべきだと強く警鐘を鳴らしている。

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    インターネット依存とギャンブル問題に一体的に取り組む必要性が示された

中部大学現代教育学部幼児教育学科の山本彩未准教授(発育発達学)と生命健康科学部スポーツ保健医療学科の伊藤守弘教授(予防医学)らは、大学生の定期健康診断に付随し、インターネット依存とギャンブル問題に関する国際的な尺度を用いて調査を実施。「睡眠時間をけずって、深夜までインターネットをすることがあるか」や、「ギャンブルのために人から非難を受けたことがあるか」などを尋ね、5083人分の有効な回答を分析した。5083人の内訳は、男子学生が3482人、女子学生が1601人。

その結果、ネット依存、ギャンブル問題はいずれも男子学生に多くみられ、ネット依存は4年生よりも1~3年生の方が顕著だった。ギャンブルの経験者は856人にのぼり、回答者の約6人に1人となった。これら経験者の中ではネット依存度が高いとされた学生ほどギャンブル問題を抱えていた。

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    ネット依存度とギャンブル問題のリスクには相関関係が見られた(中部大学提供)

具体的にはギャンブル経験者のうち、約半数の54.6パーセントの学生が「潜在的問題群」とされる、将来ギャンブルに関する問題を抱えるリスクがあると示された。専門家といった他者の介入が必要な「問題ギャンブル」の疑いは14人と、少数ではあるものの存在が確認できた。なお、今回の調査は「はい・いいえ」の2択で回答するもので、ギャンブルの種類などは問うていない。

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    ギャンブル経験があると答えた856人の回答を、リスク段階別に色分けしたもの(中部大学提供)

さらに詳しく調査を分析したところ、ネット依存のリスクが高い学生は、運動習慣や睡眠、食事の面で課題を抱えていた。栄養バランスがとれない食事は、脳の自制心を司る前頭前皮質の機能低下を招くとされ、「負のスパイラル」に陥る可能性がある。問題ギャンブルの面では、保護者にギャンブル問題があると、そうでない学生に比べて問題群に分類される可能性が高かった。

ギャンブルは近年、スマートフォンのオンラインゲームでアイテムを得るためにくじを引く「ガチャ」やオンラインカジノなど、若者にも身近な存在になっている。比較的新しいギャンブルの一種で、開発のスピードが速いため、網羅的に仕組みを研究できていないという課題がある。

オンラインカジノへのアクセスは単純賭博罪・常習賭博罪の対象とされており、何かを得られた時点ではなく、賭けた時点で犯罪が成立する。そして、賭けるための金銭欲しさに他の犯罪に手を染める可能性があるなど、負の影響も否定できない。また、政府のIR(統合型リゾート)整備が進められる中、ギャンブル問題とインターネット依存を包括的に考える必要があることを示唆している。

伊藤教授は「大学に入学すると、自由を満喫したいという気持ちになる。そこにスマートフォンに合法に見えるギャンブルの広告が表示されると、実際には危険であっても『大丈夫だ』と気持ちが大きくなる。『自己責任』という風潮が広まるなかで、リスクへの感度がまだ十分に育っていない学生は、その危険性に気がつきにくい」と指摘する。交通安全教室が小中学校で広く実施されているように、インターネットに初めて触れる時期から日常的にリテラシー教育を行うことが重要だと強調した。

山本准教授も「最近は、小学生であっても『文字を書く』『辞書を引く』といった学習活動をタブレットで行う機会が増えている。インターネットは便利な一方で、すぐに答えが得られないことに向き合う経験や、試行錯誤する過程といったアナログならではの価値を理解した上で活用することが重要ではないか。そのため、インターネットリテラシー教育は、初等・中等教育段階のICT教育の中で、情報を主体的・批判的に判断し活用する力を育む機会を充実させることが求められる」とした。

伊藤教授と山本准教授は今後、今回の研究を基に、プライバシーなど倫理的側面に配慮しながら、より長い時間軸の中で追跡した研究を行いたいとしている。

成果は5月8日、スイスの科学誌「ビヘイビオラル サイエンス」に掲載され、同26日に中部大学が発表した。

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