この半導体ニュースのまとめ

・SEMIは2026年央予測として半導体製造装置市場が前年比23.2%増の1659億ドルになると予測
・2028年には市場規模が2295億ドルに達し、AI主導の先端ロジック、先進メモリ、後工程投資が成長をけん引
・WFE、テスト装置、組立・パッケージング装置のいずれも成長が続き、地域別では中国、台湾、韓国が上位を維持

2026年の半導体製造装置市場は1659億ドルに

SEMIは7月14日、世界半導体製造装置の2026年央市場予測を発表した。

それによると、2026年の半導体製造装置(新品)の世界売上高は、前年比23.2%増の1659億ドルに達する見通しだという。2025年末時点では、2026年の世界半導体製造装置市場を前年比9.0%増の1450億ドル、2027年を同7.6%増の1560億ドルと予測していたため、今回の2026年予測はそこから大幅に引き上げられた形となる。

また、2024年末時点では2026年の市場規模を1394億ドルと見込んでいたことを踏まえると、AI関連投資の拡大を背景に、製造装置市場の成長シナリオがこの1年半ほどで大きく切り上がったことになる。

  • 半導体製造装置売上高の推移

    半導体製造装置売上高の推移(予測含む) (出所:SEMI半導体製造装置市場統計レポート年間購読(EMDS)、2026年7月)

SEMIでは、AIが主導する需要により半導体製造投資は新たな局面に入っているとし、半導体製造装置市場は5年連続の成長を遂げ、2028年には2295億ドルに到達すると予測している。

AIインフラ、先端ロジック、先進メモリが成長をけん引

今回の上方修正の背景には、AIインフラ投資の拡大がある。

生成AIや推論処理、AIエージェント、HPC向け需要の拡大に伴い、AIアクセラレータや高性能CPU、HBM、エンタープライズSSDなどの需要が高まっている。こうした半導体需要は、先端ロジック、先端メモリ、先端パッケージング、テスト工程への投資を押し上げている。

SEMIのPresident and CEOであるAjit Manocha氏は、AIがより高性能で高効率な半導体チップへの需要を加速させており、それが半導体製造装置市場全体への投資拡大を促していると説明している。今回の年央予測は、AI時代に必要とされる先端ロジック、先端メモリ、テストおよびパッケージングへの投資により、製造装置投資がより高い成長軌道に乗ることを示すものとなる。

すでに2025年末時点でも、AI半導体の市場拡大に伴い、半導体市場が2029年に1兆ドルを突破する可能性や、AI/HPC関連投資が設備投資全体に占める比率を高めていく見通しが示されていた。今回の予測では、その流れがさらに強まった格好だ。

WFEは2028年に2000億ドル超へ

セグメント別では、ウェハファブ装置(WFE:Wafer Fab Equipment)の伸びが全体を大きく押し上げる。

ウェハプロセス処理装置、ファブ設備、マスク/レチクル製造装置を含むWFEの販売額は、2025年に過去最高の1169億ドルを記録したが、2026年には前年比23.1%増の1439億ドルへとさらに拡大する見通し。その後も2027年に同21.8%増、2028年に同14.1%増と成長を続け、2028年には2000億ドルを突破することが予測されている。

この見通しは、2025年末時点の予測から大きく上方修正されている。背景には、HBM向けDRAM技術を中心とした先端メモリ投資と、AI/HPC向け先端ロジック投資の拡大がある。

デバイスメーカー各社は、AI関連ワークロードに対応するため、生産能力の増強とプロセス移行を進めている。特に、先端ロジックでは2nm世代のGate-All-Around(GAA)トランジスタ技術の量産移行が進む見込みであり、EUV露光装置、成膜装置、エッチング装置、計測・検査装置などの装置需要が高水準で推移するとみられる。

ファウンドリ/ロジック向けは2028年に1047億ドルへ

アプリケーション別では、ファウンドリおよびロジック向けWFE販売額が、2026年に前年比18.9%増の780億ドルとなる見通しだ。

  • 半導体製造装置のアプリケーション別売上高推移

    半導体製造装置のアプリケーション別売上高推移(予測含む) (出所:SEMI)

背景には、AIアクセラレータ、HPC、ハイエンドモバイルプロセッサなどをターゲットにした先端プロセス向け投資の活発化がある。その後も2027年で同18.1%増、2028年で同13.6%増と成長が続き、2028年には1047億ドル規模に達すると予測されている。AI/HPC需要の拡大により、3nm、2nm、その先の先端プロセスに向けた投資が想定以上に膨らんでいることがうかがえる。

DRAM装置はHBM投資で2028年に569億ドルへ

メモリ関連装置への投資も拡大が続く。

DRAM装置販売額は、HBM需要の拡大と先端DRAMプロセスへの移行を背景に、2026年に前年比39.0%増の388億ドルとなる見通し。その後も2027年に同27.4%増、2028年に同15.0%増と伸び、2028年には569億ドルに達すると予測されている。

2025年末時点でも、HBMを中心としたDRAM投資はスーパーサイクルに入っているとの見方が示されていた。ポイントは、DRAM投資の多くが単純な生産能力増強ではなく、次世代プロセスへの移行に向けたものである点だ。微細化によりウェハあたりの取れ数は増える一方で、ウェハ処理枚数そのものは大きく増えにくく、AIサーバ向けの旺盛な需要に供給が追い付きにくい構図が続いている。

NAND装置販売額も、2026年に前年比30.7%増の139億ドルとなり、2027年に同31.1%増、2028年に同14.5%増と成長する見通し。2028年には208億ドルに達すると予測されている。3D NANDの積層数増加や、より高密度なメモリアーキテクチャへの投資がけん引役となる。

テスト装置は2028年に208億ドルへ

後工程装置市場もAI関連需要を背景に拡大する。

テスト装置市場は、2025年に前年比55.3%という大幅成長を記録した後、2026年も同31.0%増の153億ドルへと拡大する見通しだ。こちらも2025年末時点の予測から大きく上方修正された。

AIアクセラレータやHBM、先端パッケージング品では、デバイス構造が複雑化し、性能・信頼性要件も厳しくなっている。これに伴い、ウェハレベル、パッケージレベル、システムレベルでの検査・テスト需要が増えており、テスト装置市場の成長につながっている。

組立・パッケージング装置市場は、2025年に前年比20.8%増となった後、2026年も同9.6%増の67億ドルと成長が続く見通し。SEMIでは、テスト装置市場が2028年に208億ドル、組立・パッケージング装置市場が同86億ドルへ成長すると予測している。

中国、台湾、韓国が上位3地域を維持

地域別では、中国、台湾、韓国が半導体製造装置投資額の上位3地域を占める見込みだ。

中国は、予測期間を通じて最大の装置市場としての地位を維持するとみられている。ただし、近年の高水準な投資の反動から、2026年の成長は緩やかなものになる見通しだ。

台湾では、AIおよびHPC向けの先端半導体生産能力の拡張が装置投資を支える。TSMCを中心に、先端ロジック、CoWoSなどの先端パッケージング、関連する後工程能力の増強が続いており、AIインフラ投資の恩恵を最も直接的に受ける地域の1つとなる。

韓国では、HBMを含む先端メモリ技術への投資が装置市場をけん引する。Samsung ElectronicsとSK hynixは、DRAM、HBM、NAND、先端パッケージングへの投資を進めており、AIメモリ需要を背景に高水準の投資が続く見通しである。

そのほかの地域でも、サプライチェーンの地域分散化、各国政府の支援策、特定用途向け生産能力の増強投資を背景に、2027年および2028年に装置投資が拡大すると見込まれている。

日本にもAI需要の波及効果

日本市場については、SEMIの今回発表では個別の数値詳細は示されていないが、これまでの予測では2025年以降、ロジック/ファウンドリ、CMOSイメージセンサ、NAND、DRAM、パワー半導体など幅広い分野で投資が継続すると見られてきた。

2025年末時点では、日本の半導体設備投資は2027年に向けて成長が続くとの見方が示されており、AI需要は2027年以降、日本のプラス要因になっていく可能性があるとされていた。日本には、Micron Technologyの広島工場、キオクシアとSandiskの四日市工場/北上工場、TSMC/JASMの熊本工場、Rapidusの千歳工場などが存在し、先端ロジック、メモリ、材料、装置、後工程関連まで含めた投資の広がりが見込まれる。

もっとも、AI需要の恩恵の中心は、現時点では台湾の先端ロジックと韓国のHBM/DRAMが主軸である。そのため、日本がその波を本格的に取り込むには、先端ロジック量産、メモリ投資、材料・装置供給、後工程能力の強化を連動させる必要がある。

装置市場はAI時代の成長軌道へ

今回のSEMIの2026年央市場予測は、半導体製造装置市場がAI時代の成長軌道に入ったことを示すものといえる。

2024年末時点では2026年の装置市場は1394億ドル、2025年末時点では1450億ドルと見込まれていたが、今回の予測では1659億ドルへと大きく上振れした。さらに2028年には2295億ドルに達する見通しとなり、AIインフラ、先端ロジック、HBM、先端パッケージング、テスト工程への投資が、今後数年にわたり装置市場を押し上げる構図が明確になった。

半導体市場では、AIアクセラレータやHBMに注目が集まりがちだが、それらを量産するにはEUV露光装置、成膜装置、エッチング装置、洗浄装置、計測・検査装置、テスタ、パッケージング装置など、広範な製造装置への投資が必要となる。

AI需要が一過性の特需にとどまるのか、それとも長期的な構造変化として続くのかは今後も注視が必要だが、少なくとも足元の設備投資計画を見る限り、半導体製造装置市場は2028年に向けて、従来予測を大きく上回る成長局面に入ったといえそうだ。