近年では猛暑の常態化や高齢化の進展に伴い、熱中症は社会課題になっている。そのような状況においてマクニカは7月14日、「酷暑時代に必見 - テクノロジーが変える熱中症対策」をテーマにメディア向けの勉強会を開催した。

熱中症対策は「個人任せ」から組織管理へ、法改正で高まる企業の危機感

勉強会が開催された7月14日は全国167地点で猛暑日を記録し、梅雨明け後の本格的な夏の到来を印象づける1日となった。熱中症のリスクが伴う季節となり、読者の中にもハンディファンなど個人的に暑さ対策を行っている人も多いかと思う。

実際、2024年の熱中症による死亡者は2160人と年々右肩上がりに増加し、2025年の搬送人数は10万510人と調査開始以降で過去最多を更新した。高齢者だけでなく、子どもやペットは体が小さく、低い位置で熱を感じているなど他世代・環境でもリスクがあるという。

  • 熱中症による死亡者数は年々増加している

    熱中症による死亡者数は年々増加している

また、2025年6月には職場における熱中症対策の強化を目的とした改正労働安全衛生規則が施行され、一定の暑熱環境下で作業を行う事業者に対して、熱中症のおそれがある作業者を早期に把握するための報告体制の整備や、症状の悪化を防止するための措置・手順の策定・周知が義務付けられている。

マクニカ イノベーション戦略事業本部 ものづくりコンサルティング事業部 事業部長の米内慶太氏は「昨年6月以降に企業の危機感が急速に高まり、組織的な対策が進展した。個人任せの状態から“組織として対策しているか”が問われる時代になっている。初期対応の遅れが死亡リスクに直結し、労働者が自覚するにも限界がある。そのため、当社はテクノロジーの利活用を重視している」と述べた。

  • マクニカ イノベーション戦略事業本部 ものづくりコンサルティング事業部 事業部長の米内慶太氏

    マクニカ イノベーション戦略事業本部 ものづくりコンサルティング事業部 事業部長の米内慶太氏

マクニカの「AiryQonnect」、空気質管理から暑熱環境の可視化へ拡張

こうした状況もあり、同社ではさまざまな熱中症対策のサービス・ソリューションを展開している。その中でも重点的に紹介されたものが、2021年から提供している空気質モニタリングソリューションサービス「AiryQonnect(エアリーコネクト)」の新ラインアップとして7月13日に発表した「AiryQonnect熱中症対策ソリューション」だ。

AiryQonnectを説明した、マクニカ アルティマ カンパニー 第1技術統括部 応用技術第1部 主席の甲斐田陽一氏は「空気質とは屋内空気中に含まれる、においやウイルス、菌・カビなどさまざまな成分の量や状態のことであり、人の健康や生産性に影響を与える」と話す。

  • マクニカ アルティマ カンパニー 第1技術統括部 応用技術第1部 主席の甲斐田陽一氏

    マクニカ アルティマ カンパニー 第1技術統括部 応用技術第1部 主席の甲斐田陽一氏

AiryQonnectは空気質を測定・可視化し、センサ端末で空気質関連のセンサや、それに付随する各種センサを組み合わせてセンシングを行い、さまざまな通信規格を備えたコネクティビティでプラットフォームにつなぎ、データを蓄積・解析する。

これまで、温湿度やCO2、TVOC、PM2.5などの空気質データを可視化するソリューションを提供し、センサ、無線通信、クラウド、ダッシュボード、外部機器連携を組み合わせることで、施設や作業環境における目に見えない環境データを、管理者と現場の双方が活用できる情報へと変換することを強みとしてる。

  • 「AiryQonnect(エアリーコネクト)」の概要

    「AiryQonnect(エアリーコネクト)」の概要

WBGTと輻射熱をリアルタイムに把握、遠隔監視とアラートで現場に通知

今回の熱中症対策ソリューションについて、甲斐田氏は「新たにWatty社製の輻射熱センサを連携対象に加えたことで、WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:暑さ指数)の測定が可能になり、体感に近い暑さをデータ化できる」と説く。

センサデータはBluetooth経由でゲートウェイに集約、クラウドに転送し、クラウド上で蓄積されたデータをグラフやフロアマップ上でリアルタイムに表示する。また、遠隔地の複数拠点における状況を1つの画面で一元管理することができるほか、熱中症発生時に過去の環境データを振り返り、原因究明に活用できるという。

設定したWBGTの閾値を超えると管理者に自動でメール通知が送信され、現場に設置した警告灯が作動して作業者に視覚的に注意を促す。一般来訪者向けにはQRコードを介して、来訪者自身がスマートフォンでリアルタイムの暑さ指数を確認できる仕組みも提供している。

利用シーンは向上・倉庫や物流センター、商業施設などのバックヤード、熱源設備周辺、多拠点遠隔監視などを想定している。

  • 「AiryQonnect熱中症対策ソリューション」の概要

    「AiryQonnect熱中症対策ソリューション」の概要

ウェアラブルや見守りサービスも紹介、熱中症対策はデータ主導の時代へ

そのほか、同社ではファン付きウェアやペット用ファン付きウェア、深部体温の測定・アラートを行う熱中症予防ウェアラブルデバイス「熱中対策ウォッチ Sigfox カナリア」、カフレス血圧モニタリング「Arblet 血圧演算 プログラム Alysis-001」、冷蔵庫のドア開閉を検知して親族に通知する生活確認サービス「Ref Pac(レフパック)」などを紹介した。

  • 「Arblet 血圧演算 プログラム Alysis-001」の概要

    「Arblet 血圧演算 プログラム Alysis-001」の概要

最後に、米内氏は「熱中症対策は自己申告で守ることは難しいため、テクノロジー起点の管理にシフトするべきだ。組織は“自覚依存”から“データ主導”の管理に切り替えない限り、現場の安全確保を見逃す可能性がある。そのため、テクノロジーの利活用は重要」と改めて強調していた。