この半導体ニュースのまとめ
・エレファンテックが、超高多層基板の層間接続向け銅ナノペースト「SAphire B」を開発
・独自の自己組織化銅ナノ粒子技術により、低温・大気下で低抵抗かつ高信頼性な垂直方向の導通形成を狙う
・AIサーバや高速通信機器向け基板の高多層化・高密度化に対応し、次世代基板材料として共同評価を進める
AI時代の超高多層基板向けに銅ナノペーストを開発
エレファンテックは6月30日、AI時代の超高多層基板向け低抵抗基板間接続用銅ナノペースト「SAphire B」を開発したことを発表した。
同製品は、多層基板の層間接続向けに開発された銅ナノペーストで、同社独自の自己組織化銅ナノ粒子(SA-CuNP)技術を用いる。AIサーバや高速通信機器では、演算性能や通信帯域の向上に伴い、基板の高多層化・高密度化が進んでおり、基板間や層間を低抵抗かつ高信頼に接続する技術の重要性が高まっている。
こうした用途では、信号品質や電源品質を確保しつつ、基板全体の薄型化や高密度実装を進める必要がある。特にAIサーバ向けでは、大電流化や高速信号伝送への対応が求められることから、垂直方向の導通抵抗や接続信頼性がシステム全体の性能に影響する要素となっている。
SA-CuNP技術を基盤に低温・大気下で導通形成
SAphire Bは、エレファンテックがこれまで展開してきたSAphireシリーズの一環として開発された材料。同社のSA-CuNP技術は、銅ナノ粒子の特性を活用しながら、銅材料の低温焼結性や導電性を引き出すことを狙ったものとなる。
一般に銅は銀に比べて材料コスト面で優位性がある一方、酸化しやすいという課題を抱える。特に基板製造プロセスで利用する場合、低温かつ大気下で安定した導通形成を実現できるかどうかが量産適用に向けた重要なポイントとなる。SAphire Bは、こうした課題に対し、低温・大気下での低抵抗化と高信頼性を両立させることを目指した銅ナノペーストと位置付けられる。
エレファンテックはすでに、ガラス貫通ビア(TGV)向けの「SAphire G」や、パワー半導体向け接合材「SAphire D」など、用途別にSAphireシリーズを展開している。今回のSAphire Bは、AIサーバや高速通信機器向けの超高多層基板における基板間・層間接続をターゲットとしたラインアップとなる。
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SAphire Bによる基板間接続プロセスのイメージ。同社の試験では、36ビア直列デイジーチェーンサンプルにおいて、−55℃/125℃、1,000サイクルのヒートサイクル試験にて抵抗値変化が1%未満に収まることを確認したとする (出所:エレファンテック)
高多層化・高密度化で課題となる垂直方向の接続信頼性
AIサーバや高速通信機器向けの基板では、プロセッサ、メモリ、電源回路、高速I/Oなどを高密度に実装する必要があり、基板構造は複雑化している。多層化が進むほど、各層をつなぐ垂直方向の導通形成が重要になるが、導通抵抗の増加や接続部の信頼性低下は、発熱、電源品質、信号品質の悪化につながる可能性がある。
従来の接続手法では、工程温度やプロセス負荷、材料コスト、接続部の信頼性などが課題となる場合がある。これに対し、銅ナノペーストによる導通形成は、適用プロセスを簡素化しつつ、低抵抗な接続を実現できる可能性がある。SAphire Bは、そうしたニーズに対応する材料として、高多層基板における安定した層間導通形成を狙う。
AIサーバ・高速通信機器向け基板で共同評価を推進
同社は、今回開発したSAphire Bについて、次世代の超高多層基板の実現に向けた材料として、AIサーバや高速通信機器向け基板での適用を想定している。
AIサーバでは、GPUやAIアクセラレータ、HBM、CPU、ネットワークチップなどを接続する基板に対し、より高い電源供給能力や低損失な信号伝送、実装密度の向上が求められている。また、高速通信機器でも、通信帯域の拡大に伴い、基板の低損失化や高信頼接続の重要性が増している。SAphire Bは、こうした市場要求に対し、材料面から基板の性能向上を支えることを狙う。
同社としては、SAphire Bを通じて、低温・大気下で処理可能な銅ナノペーストの適用領域を広げる考えとみられる。今後は、国内外の基板メーカーや関連顧客との評価を進め、超高多層基板向けの量産適用に向けた信頼性検証やプロセス最適化を進めていくものとみられる。
AIサーバや高速通信機器では、半導体チップそのものの性能向上に加え、基板、パッケージ、接合材料を含めた周辺技術の重要性が増している。SAphire Bは、こうした「AIインフラを支える材料技術」の1つとして、超高多層基板における導通形成の選択肢を広げる製品といえそうだ。

