この環境技術ニュースのまとめ

  • 三菱重工、水素100%燃料を用いた運転で、水素利用時に課題となる異常燃焼の抑制手法と運転技術を確立
  • 振動や燃焼室の温度の計測に基づく信頼性評価で問題がないことを確認

三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)が、相模原工場内に設置した500kWクラスの水素専焼エンジン発電セットの実証設備において、水素100%燃料を用いた運転で定格出力(435kW/1,500回転)を達成。製品化に向けた運転技術の確立と、信頼性の確認完了を6月23日に発表した。

  • 水素専焼エンジン発電セット(試験機)

    水素専焼エンジン発電セット(試験機)

  • 水素専焼エンジン発電セットの設備の構成

    水素専焼エンジン発電セットの設備の構成

MHIETでは、通算100時間以上の運転を経て、実用化に向けて大きく5つの成果が得られたと説明している。

  1. 年間にわたる運転を通じ、各種外気条件での発電出力や発電効率、排ガス性能などの性能評価を完了
  2. 都市ガスと比べて着火性や燃焼性が高く、高い安全対策が求められるという水素の特徴により課題となる、異常燃焼の抑制手法を確立
  3. 実製品に近い発電セット試験機を用いて、実運用で生じ得る出力の急激な増減にも対応できることを確認
  4. 各種計測(振動や燃焼室の温度の計測など)を行い、信頼性に問題がないことを確認
  5. 米倉山電力貯蔵技術研究サイト(山梨・甲府市)で製造され、製造過程・実証試験での利用時にCO2を排出しない“グリーン水素”を用いて、相模原工場での受け入れから発電までのプロセスを実証
  • 米倉山電力貯蔵技術研究サイト(出所:山梨県)

    米倉山電力貯蔵技術研究サイト(出所:山梨県)

  • 高圧水素ガスを相模原工場の水素供給設備に搬入

    高圧水素ガスを相模原工場の水素供給設備に搬入

同社はこれらの成果をもってすべての評価を完了(現時点では水素供給の観点から実施が困難な、長期耐久性の評価を除く)。「同発電セットは実用化可能な技術成熟度に到達した」として、引き続き運転時間を増やしながら試験を重ね、製品化に向けたプロセスを加速していく。

レシプロエンジンは、さまざまな燃料を燃やすことができ、低・脱炭素社会の実現に向けた燃料転換で重要な役割を果たすことが期待される。水素専焼エンジンを用いた発電セットは、純水素を燃料とすることで、燃料の燃焼でCO2を排出することなく、分散型電源の脱炭素化に寄与するとみている。

MHIETは、水素専焼エンジン発電セットの設計、製作、実証に至る工程を相模原工場内で一貫して遂行する開発サイクルを構築しており、一連の実証試験で得た結果を迅速に製品に反映させられるとする。同社は今後も製品化を推進し、水素の利用拡大による脱炭素社会実現をめざす。