このITインフラニュースのまとめ
- 三菱重工が、富士通 明石データセンターで運用最適化によるエネルギー効率向上を実証
- マルチベンダー構成の設備をまとめて最適に制御、稼働中のデータセンターの冷却エネルギー2.3%削減を達成
- データセンター全体への適用により電力使用量を最大7.6%削減見込み、PUE改善に貢献
三菱重工業は、データセンターの安定稼働を維持しながら、冷却に使うエネルギーの削減を達成し、電力の使用効率を示すPUEの改善を実証したと7月9日に発表。普及拡大が進むデータセンターの運用コスト削減とPUE改善に寄与するとしている。
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富士通 明石データセンターの冷却システムのイメージ。図の中間にある「ヘッダー」とは、複数系統の冷水や冷却水を集約・分配し、安定供給と制御性を高める主要な配管で、「バッファータンク」は冷水や冷却水を一時的にため、流量や圧力の変動を吸収して設備の安定運転を支えるためのもの。図の右下にあるのは、停電や電力異常があってもサーバーなどに電力供給を続けるUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)ルーム
今回の実証は、富士通が運営する「富士通 明石データセンター」において、複数のメーカーや提供元の設備が混在するマルチベンダー構成の既存設備を対象に実施したもの。
このデータセンターの冷却システムは、データセンター全体の冷却に関連する共通設備(冷却塔、冷却水ポンプ、冷水ポンプ、ターボ冷凍機)と、個別のサーバールームに設置される空調機(AHU)で構成されている。従来は各設備ごとに最適化を行っていたが、今回の実証を通じて最適化の範囲を冷却システム全体にも拡げ、省エネルギー化を追求した。
なおPUE(Power Usage Effectiveness)とは、データセンター全体の電力をIT機器の電力で割った値のことを指し、数値が1に近いほど効率が良く、ムダな電気を使っていないことを示すという。
需要高まるデータセンター、冷却システムは“最大の電力消費源”
データセンターの需要が世界的に急増する一方で、その電力消費の急拡大が大きな課題となっている。特に冷却システムは“最大の電力消費源”とされており、サーバーなどのIT機器を除く電力使用量の60%以上(IEA:国際エネルギー機関による数値)を占めるという。
既存のデータセンターでは、サーバーの安定稼働を最優先に冷却システムを運用してきたため、冷却システム全体のエネルギー最適化との両立が難しい。さらに、マルチベンダー構成の既存のデータセンターでは、AIを動かすための負荷の高い計算処理(AIワークロード)が増えていることもあり、運用に求められる条件が高度化しているため、既存の省エネ手法の効果が限られるという事情もある。
“データセンターの運用を止めない”実証の成果
今回の実証の大きな特徴は、データセンターの運用を止めずに実施したことにあり、三菱重工の総合研究所が開発した、マルチベンダーの設備に対応する仕組みを用いてシミュレーションと最適な制御を行ったとのこと。
具体的には、サーバールーム内で温度のばらつきがある場所を特定し、空調機で風量を制御し、最適な気流に変更。これによって温度のばらつきを2度縮小でき、冷却システム全体での最適な運転範囲が拡大したという。
その結果、冷却システムをまとめて制御することが可能となったため、冷却水を適切な温度に保ち、冷却システム全体で2.3%のエネルギー削減を達成。加えて、ターボ冷凍機のエネルギー効率(COP:Coefficient of Performance)は1.2ポイント以上、上昇した。
COPとは、投入した電力に対し、どれだけ冷却または加熱する効果があるかを示すエネルギー効率の指標で、この数値が大きいほど、エネルギー効率が良いことを示す。
今回の実証では、データセンターに複数あるサーバールームのうちの1室に適用したが、データセンター全体に適用した場合は、最適な運用が行える範囲が拡大するため、冷却システム全体で7.6%のエネルギー削減効果が見込まれるとのこと。
