旭硝子財団(島村琢哉理事長)は、地球環境問題の解決に尽くした研究者らに贈る「ブループラネット賞」の2026年(第35回)の受賞者に、有機フッ素化合物(PFAS)やダイオキシンなどの環境中に残留しやすい化学物質のリスク評価研究を進展させた研究者ら米国の2人を選んだ。表彰式は10月28日に東京都内で開かれ、それぞれに賞状、トロフィー、賞金50万ドルが贈られる。
受賞者は、米国立環境健康科学研究所(NIEHS)元所長のリンダ・S・バーンバウム氏(79)と、米コロラド州立大学経済学部卓越教授のエドワード・バービエイ氏(68)。
旭硝子財団によると、バーンバウム氏の授賞理由は、環境中に残留する一部のPFASやダイオキシン、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、PBDE(臭素系難燃剤の一種)などの化学物質の毒性研究を主導し、国際的なリスク評価を大きく進展させた。具体的にはこれら化学物質が体内に取り込まれてから排出されるまでの一連のプロセスや体内で悪影響をもたらす仕組みを研究、成果を上げた。
特に胎児期・乳幼児期・思春期といった「感受性の高い時期」に内分泌かく乱物質にさらされると、生体システムを長期にわたって変容させ、将来的にがんや代謝性疾患などの慢性疾患リスクに関与し得るという視点を提示した。さらに、極めて低用量でも遺伝子の働き方(発現)を変化させ、その影響が多世代に及ぶ可能性を示した。これらの知見は、妊婦や子どもなど脆弱な集団の保護を重視するリスク評価や規制への転換につながった。
バーンバウム氏は、PFASが現在のように世界各国で規制対象になる科学的基盤形成に貢献した研究者の一人で、NIEHS所長として研究資金配分などを通じてPFAS研究全体を押し上げた功績がある。
同氏は「残留性有機汚染物質(POPs)が環境や健康に及ぼし得る影響を早期から認識し、ともに歩んでくださった日本の研究者・研究機関との連携に深く感謝しています。その協力関係は私たちに共通する使命を大きく前進させるものでした」などとコメントした。
もう一人の授賞者のバービエイ氏は、自然や生態系を「自然資本」という資産と捉え、その価値を政策判断に活用できる形で可視化する経済学的枠組みを体系化してきた。そしてその自然資本の価値を「生態系サービス」として定量化する手法を確立した。
こうした研究は環境保全と経済発展を両立させて持続可能性のある社会を目指す「グリーン経済」をけん引し、自然の価値を経済システムの中核に捉えて投資配分や経済的インセンティブなどに直結させる国際的な実践の土台となった。また「自然資本を守ることが人類の繁栄、環境の持続可能性、さらに公正な社会の実現の基盤になる」との考え方に科学的基盤を与えた。
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