この宇宙・航空ニュースのまとめ

  • 栗田工業、国際宇宙ステーション(ISS)上での実証を終えて地球へ帰還した「水再生技術実証システム」の分解調査・解析を完了
  • 2019年に打ち上げられ、2023年まで約4年間の実証を終えたシステム。「想定どおりの性能を発揮し、微小重力環境下における水処理特性について多くの有益な知見得られた」(栗田工業)
  • 設計・運用の両面で検討すべき課題が明らかに、宇宙における水回収・再生に係る技術開発などへ活用

栗田工業は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)により実施された国際宇宙ステーション(ISS)での軌道上実証を完了し、地球へ帰還した「水再生技術実証システム」の分解調査と解析を実施。一連の作業を完了後、JAXAへ結果報告を行ったと6月15日に発表した。

  • ISSから帰還した、栗田工業の水再生システム

    ISSから帰還した、栗田工業の水再生システム

この実証は、栗田工業とJAXAが将来型水再生システムの検討に関する共同研究契約を2011年に締結してスタート。宇宙機内で発生する水分(尿)を回収して、飲用可能なレベルの水質へと再生処理するシステムの開発を栗田工業が受注し、2019年にJAXAへ納品した。

同年打ち上げられたシステムはISS「きぼう」日本実験棟に納められ、2023年までの約4年間にわたり、栗田工業の地上からの技術支援のもと、JAXAによる軌道上実証を実施。その後、実証終了後の装置内部の変化を今後の宇宙開発に活用するというJAXAと同社の意向を踏まえて、2025年5月に地上に帰還し回収された。同社では「この装置は総重量100kgを超え、JAXAの大型装置として初めて地上に帰還したものだ」としている。

栗田工業は、「同装置は想定どおりの性能を発揮し、微小重力環境下における水処理特性について有益な知見を多く得た」としており、装置の地球帰還後、はクリタグループの研究開発拠点「Kurita Innovation Hub」(東京・昭島市)において同社の開発担当者が、微小重力下での運転に伴う劣化や特性の変化などの確認を目的とする分解調査・解析を行った。

その結果、微小重力環境では、システム内部で水や気泡が地上とは異なる独特の挙動を示していたことや、当初の想定を上回る4年超という長期間の軌道上運用による部品の劣化や周辺機器への影響など、設計と運用の両面から検討すべき課題が明らかになったとのこと。同社はこの実証で得られた知見を、宇宙における水回収・再生に係る技術開発などへ活かしていく方針だ。