この宇宙ニュースのまとめ
・マクセルがJAXAと全固体電池の共同研究を開始
・100℃超でも動作する高耐熱特性で宇宙環境対応を強化
・衛星の軽量化と設計自由度向上によるミッション性能向上を狙う
マクセルは6月4日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「JAXA宇宙技術実証加速プログラム(JAXA-STEPS)」において、全固体電池の共同研究を開始したと発表した。
採択されたテーマは「宇宙機ミッションを最大化する高耐熱全固体電池の開発実証」であり、小型衛星への実装を想定した技術検証を進める。
宇宙機の制約となるリチウムイオン電池
近年、人工衛星の打ち上げ数の増加やミッションの長期化に伴い、機体の軽量化と高性能化と並行して長期安定動作への対応が求められている。
その中で制約となっているのが電源だという。従来、人工衛星には液系リチウムイオン電池(LIB)が用いられてきたが、耐熱性に限界があるという。
課題は高温環境での性能劣化
宇宙空間は真空状態ということもあり、太陽の光を直接浴びた際の機体温度の上昇、ならびに惑星の影などに入った際の機体温度の低下の幅が激しく、宇宙機は常に厳しい環境にさらされる状態に置かれている。
液系リチウムイオン電池の上限使用範囲温度は60℃程度とされ、それを超えると過酷環境となり寿命が急速に低下するほか、100℃以上の高温域では破損や発火のリスクもでてくるため、特殊な温度管理設備が必要となり、機体重量の増加や設計自由度の低下を引き起こしていた。
全固体電池で温度制約を緩和
マクセルは、100℃以上でも高い安全性を維持できる全固体電池の開発を進めてきた経緯があり、今回の共同研究では、従来のLIBと同等のエネルギー密度を維持しつつ、広い温度範囲で安定した出力と長寿命を実現することを目指すという。
具体的には、小型衛星への搭載を想定した実証を通じて、温度管理設備を最小限に抑えることを可能にすることで、機体全体の軽量化と設計自由度の向上の両立を目指すとしている。
小型衛星での実証を加速
JAXA-STEPSは、小型衛星を活用して技術を迅速に実証するプログラムであり、官民にとって必要な将来ミッション・技術の研究開発を加速することを目的としている。
今回の取り組みも、この枠組みを活用することで、宇宙用途での実用化に向けた検証を進めるもととなる。
なお、マクセルでは、長寿命・高耐熱・高出力・大容量を軸とした全固体電池の開発を継続していくとしており、今回の共同研究の成果を活用することで、全固体電池の適用領域の拡大を図り、顧客課題の解決につながる電池ソリューションの提供を加速していきたいとしている。