すでにお伝えしたH3ロケット6号機(30形態試験機)第1段の報道公開に続き、5月25日には、搭載するペイロードとフェアリングの公開も行われた。場所は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターの衛星フェアリング組立棟(SFA)。ここで、結合前の「VEP-5」、超小型衛星、超小型衛星搭載アダプタ、フェアリングを見ることができた。
日本の大型液体ロケットとして初めて、固体ロケットブースタが付かない30形態は、システムレベルで大きく刷新されているため、実用衛星は搭載せず、試験機として打ち上げられる。主衛星の代わりに、ロケットの性能を確認するために搭載されるダミーウェイトが「VEP-5」だ。
ダミーウェイトは、同じく試験機であった2号機でも「VEP-4」が搭載されていたが、形状は大きく異なる。VEP-4は、打ち上げに失敗した先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の重心位置まで模擬するため、ダンベルを縦に置いたような形であったのに対し、VEP-5は単なる重りであるため、円盤状だ。どちらもアルミ製の塊である。
ただ、このVEP-5、以前から公開されていたイラストと違って実物を見てみると、中央に直径20cmほどの穴が開けられていた。実はこれには、8号機の打ち上げ失敗が関係している。
8号機の失敗原因は、衛星搭載アダプタ(PSS)での剥離。PSSは今後、当面はH-IIA時代と同様のファスナ結合方式を採用する予定だが、6号機は追加のフライトデータを取得して原因究明結果を裏付けるため、特例として、8号機と同様に接着結合方式で製造し、剥離しないよう補修したPSSを使用する。
この補修の結果、PSSの重量が増えてしまった。この増えた分の重量を減らすため、開けられたのがVEP-5中央の穴というわけだ。残念ながら、今回そのPSSは公開されなかったのだが、この穴のサイズから、PSSの増加重量が想像できるだろう。
VEP-5の下にあるのが、新開発の超小型衛星搭載アダプタだ。超小型衛星は2号機にも搭載されていたが、設置場所はフェアリング分離面に近かったため、衛星に加わる衝撃が大きいという課題があった。今回開発したアダプタはリング状で、PSSの上に設置。フェアリング分離面から遠くなり、衝撃を大幅に緩和した。
またフェアリングも見ることができた。フェアリングは、4分割で製造したハニカムパネルをスプライス接着するという、PSSとの共通点がある。今回、フェアリングに大きな問題は見つからなかったものの、8号機の失敗を受け、少しだけ変わっている。
どちらもショートフェアリングであるが、8号機と比べてみると、6号機は、真ん中に白いテープのようなものが貼られているのが分かる。これは、片側9枚のスプライス接着箇所の上に、空力加熱から保護する断熱材を貼ったものだ。PSSの剥離に影響したのは熱だった。そのため、6号機では余裕を持たせるため、断熱材を全体的に厚めにしたとか。
フェアリングを良く見ると、先端側だけ少し暗い色になっているのが分かるだろうか。これも、空力加熱から保護する断熱材だ。H-IIA時代には、断熱材は塗装していたが、H3では作業の簡素化のため、シート状に作った断熱材を貼り付けている。この面積はミッションによって異なるが、6号機ではこれも手厚く、広くなっている。
今後の作業の流れは、超小型衛星を搭載アダプタに設置し、それをPSSの上に搭載。その上から、フェアリングを被せて、SFAでの工程が完了する。組み立てられたフェアリング部はそれから、大型ロケット組立棟(VAB)に運ばれ、そこでH3ロケット6号機の最上部に搭載、打ち上げ時の状態となる。
最後に、同時に公開された超小型衛星についても、簡単に紹介しておこう。
今回搭載されるのは、60cm級が2機、キューブサット(6U/8U)が4機。前述のように、今回は試験機なので“主衛星”はないのだが、軌道投入の機会を提供するため、相乗りの小型副衛星として搭載するものだ。
60cm級の2機、陸海域分光ビジネス実証衛星「うみつばめ」(PETREL)/東京科学大学と、宇宙テザー利用技術実験衛星「STARS-X」/静岡大学は、革新的衛星技術実証3号機の衛星だ。
キューブサットは、宇宙可視光背景放射観測衛星「VERTECS」/九州工業大学、膜展開型宇宙ゴミ対策装置「HORN-L」「HORN-R」/BULL、「BRO-22」/仏Unseenlabsの4機。これらは、Space BDの相乗りサービスとして実施されるものだ。
外から機密情報が見えるため、BRO-22のみ非公開だったが、今回、それ以外の3機を見ることができた。なおBRO-22は、フランスの衛星。これは、H3ロケットで打ち上げる初の海外衛星となるとのこと。

















