- 香港エレクトロニクス・フェアで気になる製品の仕入れ値やMOQを聞いた
- 1:OEM/ODMメーカーや部品サプライヤーが集まる“商品企画と仕入れの場”
- 2:実際にMOQ(最低発注数量)などを確認すると仕入れのメリットや課題が見えてくる
- 3:会場にはユニークな製品が多数。市場次第で売れる可能性を秘めている
香港コンベンション・エキシビションセンター(HKCEC)で毎年春(4月)と秋(10月)に開催される「香港エレクトロニクス・フェア」は、アジア有数のエレクトロニクス見本市の一つです。香港貿易発展局(HKTDC)が主催し、世界中から数千社規模の出展者と多くのバイヤーが集結します。
本展示会は製品を仕入れたいバイヤー、そしてOEM(相手先ブランド名製造)やODM(独自設計による製造)の製造委託先、部品などを製造するサプライヤーを探すメーカー担当者にとって重要な展示会となります。
近年では、香港エレクトロニクス・フェアなどで見つけた製品をクラウドファンディングサービスで販売する事例も出ています。
香港エレクトロニクス・フェアの魅力の一つは、中国本土+アジア各国のサプライヤーを一度に比較できる点にあります。深セン、東莞、恵州など中国の主要工業地帯のメーカーや工場が大規模出展する一方、台湾や韓国、タイ、ベトナム、インドのメーカーなども参加しています。中国一極集中リスクの分散先候補も含めて一度に比較できるのが、中国本土とは違う香港ならではの強み。
各ブースでは製品の最低発注数量(MOQ)と仕入れ値、自社ブランドのロゴなどを入れたり色やデザインなどを変えて発注するOEM/ODM提供が可能かどうかなどについて聞いて回ることができます。
筆者は香港貿易発展局の招待で取材に参加し、報道向けパスで入場しましたが、バイヤーであればどのくらいの価格、MOQで仕入れられるのか、気になる製品について聞いてみました。
バイヤーとして掘り出し物を探すには?
香港エレクトロニクス・フェアを訪れる目的はさまざまだと思いますが、バイヤーとして掘り出し物を見つけ仕入れたいという場合、まずは日本で販売されていない製品やブランドを見つける必要があります。
例えばカメラを内蔵するスマートAIグラスブランドのRokidや、美容機器ブランドのTOUCHBeautyなどは会場で目立つブースを展開していましたが、どちらも正規代理店を通じて日本で販売されています。
とはいえ、日本でも展開しているブランドでなければ、OEM/ODMメーカーとして設計や製造を依頼できる場合もあります。そのあたりはブースで詳しく聞いてみるといいでしょう。
気になる製品を見つけた場合はOEM提供を行っているのか(企業ロゴなどを付けたりカスタマイズしたりして販売できるか)、OEM提供していない場合(自社ブランドでしか販売しない場合)は日本に販売代理店がいるのかなどを聞いた上で、製品の最低発注数量と仕入れ値を聞くという流れになります。
MOQ(最低発注数量)によっては、自社で製品を販売するという選択肢だけでなく、自社のロゴを入れて顧客や来場者向けに配布するノベルティグッズなどにも使えます。
似たような製品サンプルが多いため、目利き力が必要
香港エレクトロニクス・フェアは米ラスベガスで行われる「CES」や独ベルリンで行われる「IFA」ほど最新テクノロジーが集まるわけではありませんし、そこまでの規模でもありません。
しかし世界各国の大手メーカーがこぞって巨大ブースを出展するCESやIFAに比べて中小メーカーや工場の小さなブースが多く、会場を回って注目製品や目当てのメーカー・工場を見つけるのはなかなか大変です。
さらに虹色に光るど派手なBluetoothスピーカーや、なぜかアナログレコードプレーヤーなどが、ありとあらゆるブースに驚くほど多く展示されています。
このほか興味深かったのが「カラオケマシン」でした。ディスプレイを搭載するポータブルタイプの製品や、マイクだけで楽しめるタイプなどが、こちらも多くのブースで展示されていました。
日本ではカラオケボックスが普及していますし、カラオケを練習できるスマホアプリやゲーム機などもあるので、日本に輸入する余地はほぼないと思います。とはいえ、中国でのカラオケ人気がこういった製品を生み出しているのだと感じました。
試しにShenzhen Sign GaoLe Technologyのブースで、アナログレコードプレーヤーのようなデザインをしたCDプレーヤーの仕入れ値を聞いてみました。MOQは500個で、仕入れ値は19.5 USドル(約3,000円)とのことでした。つい「おお、安い!」と思ってしまいがちですが、送料や関税などを含めて考えるとそこそこの売価になります。
レトロでかわいいデザインとはいえ、似たような製品はAmazonで5,000円ぐらいで購入できます。配信全盛の時代にアナログレコードどころかCDプレーヤーでもなかなか厳しそうだな……と現実に引き戻されました。
掘り出し物を無事見つけられるか!?
筆者は家電ジャーナリストを名乗っていますが、それでもどのメーカーやブランドが日本に展開しているかまでは把握しきれていません。
ただ、先方のメーカーやブランドの担当者に、日本で販売するための代理店契約を結べるのかどうかなど、契約面についても聞くことができます。まずは気になる製品やブランドがあるかどうかを探してみるのが良さそうです。
まず筆者が気になったのが、スキミング(不正読み取り)を防止するカードホルダーの「Cardhoda」や美容家電「Kaisca」ブランドなどを手がけるGift U Ideaのブースでした。
こちらでは衣類や靴箱などの空間をオゾンによって除菌・脱臭できるだけでなく、UV(紫外線)による殺菌機能も備えたバッテリー内蔵の小型除菌脱臭機「Portable Ozone Disinfection Hanger」を展示していました。自立して使えるほか、フタを取り外して広げることでハンガーにもなるというユニークなもの。
MOQは500個で、仕入れ値は13 USドル(約2,050円)です。日本でも以前はオゾンを使って除菌・消臭するハイアールアジア(現・アクア)の「Racooon(ラクーン)」や、独自の「ナノイーX」によって匂いを分解脱臭するパナソニックの「脱臭ハンガー」などがありましたが、どちらも販売終了しています。現在でもマクセルのオゾン除菌消臭器「オゾネオ」シリーズなどはあるものの、ハンガータイプというのは珍しいように思います。
そのほか、このブースでは美容家電の「Kaisca」ブランドとして「EYE CANDY Eye Massager」という目元マッサージ家電もありました。こちらはMOQが1,000個で、仕入れ値は9.25 USドル(約1,460円)です。
毎分約1万3,500回の振動と温感モードを搭載しており、冷感モードを搭載する製品と赤色LEDによる美顔ケアができる製品の2ラインを用意しているとのことでした。美容家電は国内市場の競争がかなり激しいですが、ラインナップの一つとしては十分成立しそうにも思えます。
「ハチドリ向け自動給餌器」など超ニッチな製品も
スマートホーム機器のプラットフォームを提供する企業の中でも大手であるTuya Smartのブースでは、セキュリティカメラやベビーモニターなどさまざまなスマートホーム機器を展示していました。その中でも特に筆者が興味をひかれたのが、庭やベランダなどで鳥にエサをあげる自動給餌器の「Smart Hummingbird Feeder」です。
300種類以上のハミングバード(ハチドリ)と1万種類以上の鳥を認識でき、内蔵カメラによってバードウォッチングを楽しめるというもの。MOQは1,000個で、仕入れ値は30~40 USドル(約4,700円~約6,300円)とのことでした。
Amazonでも似たような製品を販売しているようですが、DIYファンが多いホームセンターなどで販売したら人気になりそうな気がしました。
最後に生活家電も1社だけ紹介しましょう。Yuko Smartのブースでは、調理家電を展示していました。エアフライヤー(小型コンベクションオーブン)などの調理家電は数多くのブースに展示されていましたが、このメーカーはタッチパネルディスプレイでメニューを選べるなど、先進的なユーザーインターフェースを採用していました。
MOQは1,000個で、エアフライヤーは仕入れ値39 USドル(約6,200円)、ポップアップトースターは29ドル(約4,600円)とのことでした。
バッテリーを内蔵する、もしくはUSBで給電する製品の場合は気にしなくていいのですが、家電製品の場合は「日本の電源で動作するかどうか」も聞く必要があります。
今回紹介した製品のようにユーザーインターフェースがかなり高度な場合、それに合わせてレシピの開発やコンテンツの制作なども必要になるため、販売までのハードルはかなり高くなります。ただ、「本体上部のタッチパネルで操作してレシピを確認しながら調理できるエアフライヤー(もしくはトースター)を作りたい」というニーズがあった場合、それを満たすサンプル製品がここに既にあるというわけです。
もちろんその製品サンプルを参考にしつつ、自社で温めてきたイメージを伝えて一から設計してもらうことも場合によっては可能です。
顧客や来場者に提供するノベルティグッズを格安で仕入れたいという企業から、自社で家電製品を販売したいという企業まで、さまざまな企業がさまざまな視点から活用できるというのが香港エレクトロニクス・フェアの魅力だと改めて感じました。












