NTT西日本は5月8日、2025年度の通期決算について発表し、説明会を開いた。連結での営業収益は対前年355億円増の1兆5042億円、営業利益は同16億円増の835億円、当期利益は76億円減の532億円だった。営業収益は4期ぶりの増収、営業利益は2期ぶりの増益を記録した。

  • NTT西日本 2025年度連結決算と2026年度の業績予想

    NTT西日本 2025年度連結決算と2026年度の業績予想

代表取締役社長の北村亮太氏は「収益・利益ともに業績予想の計画を上回った。設備投資は対前年114億円増の2512億円、光サービスの純増数は対前年3.7万増の9.5万となった。2026年は2期連続の増収増益を目指す」と話していた。

  • NTT西日本 代表取締役社長 社長執行役員 北村亮太氏

    NTT西日本 代表取締役社長 社長執行役員 北村亮太氏

事業別の営業利益を見ると、2025年度は固定音声の収入が210億円減少したものの、光サービスや成長事業の拡大、コスト改善により対前年16億円の増益となった。2026年度も引き続き固定音声収入の減少は継続する予想だが、持続的な成長により収入減をカバーする。

  • 事業セグメント別の営業利益と2026年度の見通し

    事業セグメント別の営業利益と2026年度の見通し

光サービス拡大と加入電話移行で通信事業を強化

NTT西日本は2026年度の重点施策として、通信事業の維持・拡大を掲げる。光クロスの販売促進、新築物件向けマンション全戸プランの拡大、申し込み手続きの簡素化や開通期間短縮など、CX(顧客体験)の向上を通じて光サービスの純増数とARPU(1ユーザー当たり平均売上高)の拡大を目指す。

  • マンションプランは2024年度比で2027年度に倍増を目指す

    マンションプランは2024年度比で2027年度に倍増を目指す

同社は、加入電話を光やモバイルなど代替サービスへ順次移行する方針を掲げている。2025年度は主にビジネス用途で利用されている終了予定サービスの約半数に相当する50万回線に対し、ネットワーク最適化を提案してきた。

2026年度は自治体などと連携し、一部エリアで先行して進めている加入電話からの移行を都市部でも展開する予定。具体的な対象エリアは第1四半期に公表される見込みだ。

  • ビジネス利用を中心に加入電話からの移行を促す

    ビジネス利用を中心に加入電話からの移行を促す

IOWN拡大、地方分散型データセンター接続を推進

NTT西日本は、光技術を活用した次世代ネットワーク基盤「IOWN APN(All-Photonics Network)」の拡大にも注力する。大阪・関西万博やラグビー放映といったユースケースの増加により、案件数は対前年比で約10倍まで拡大しているという。

2026年度は福岡や広島をはじめとする西日本エリアの主要都市部へ提供エリアを拡大し、さらなる案件獲得につなげる。

また、都市部はデータセンターが集中するため土地や電力が枯渇していることから、今後は地方に分散したデータセンターをIOWNでつなぐモデルの実現を目指す。

  • 2027年度に全国エリアへIOWNを拡大する

    2027年度に全国エリアへIOWNを拡大する

ゼロトラスト環境の構築支援で法人事業を拡大

NTT西日本は法人事業の拡大に向けて、顧客の事業規模や業界特性に応じたゼロトラスト環境をマネージドサービスとして、2026年10月に提供開始する予定。国内のデータセンターでセキュリティ対応しログを保存するソブリン環境を実現し、自治体をはじめ高いセキュリティ要件が求められる顧客に対応。

中堅・中小企業向けには事業規模に適したセキュリティ機能を低コストで提供し、ゼロトラスト環境の構築を支援する。

  • マネージドサービスで法人事業の拡大を図る

    マネージドサービスで法人事業の拡大を図る

「単なるゼロトラスト環境の実現にとどまらず、NTT西日本が端末からセキュリティ機能までをトータルにマネージドすることで、お客様の運用負担を極力減らし、安心して使っていただけるサービスを目指す」(北村氏)

AI・セキュリティ・自動運転で500億円案件創出へ

CXおよびEX(従業員体験)の向上に向けて、NTT西日本は通信オペレーション改革にも取り組む。

北村氏は「着実に進捗しており、2026年度中にはシンプルな申込手続き、柔軟な変更対応、進捗の見える化を実現する」と説明した。

「むしろWebを使った方が楽だと言えるほどのCX向上を目指す」(北村氏)

まず2026年度には、フレッツ光を中心とした主要商材において「カスタマセルフ/オーダー自動流通」を実現する。さらに2027年度には、コラボ事業者向けサービスオーダープロセスの省力化を進める。

同社はAI活用による通信オペレーション変革も推進しており、2030年度までに140億円のコスト改善を見込む。営業提案資料や商談記録作成の効率化、設備運用の省力化、人材育成などにAIを活用する。

対外向けAI事業では、2030年度に500億円規模の案件創出を目指す。セキュリティ分野での異常検知や対策高度化に加え、自動運転分野など新たな価値創出につなげる考えだ。

  • NTT西日本のAI活用方針

    NTT西日本のAI活用方針

「コミックシーモア」は海外展開で早期に1000億ビジネスへ

新規事業分野では、電子書籍ストア「コミックシーモア」(NTTソルマーレ)の拡大に加え、オリジナルコミックの制作からアニメ・映画化のライセンス展開まで包括的な取り組みを強化する。

さらに、グローバル市場で話題となっている作品の紙での出版や、現地でのアニメ放映事業者への営業など、早期に収益1000億円以上を目指すという。

  • 「コミックシーモア」はグローバル市場も含め拡大

    「コミックシーモア」はグローバル市場も含め拡大

北村氏は決算会見の最後に、情報セキュリティ強化に向けた取り組みに触れ、以下のように語った。

「内部不正対策は順調に進捗しており、2026年度末までに計画通りに完了予定ではあるが、セキュリティ対策に終わりはない。発生した事案や対策を風化させることなく、今後もセキュリティ対策に全力で取り組み、お客様の期待や信頼に応えていきたい」

  • セキュリティ対策の取り組み

    セキュリティ対策の取り組み