
高市早苗政権は「責任ある積極財政」を掲げている。
岸田政権、石破政権と同じでは活路が開けないと、戦略分野と睨んだ分野に財政資金を投じたり、減税しようとしている。全てが無駄だとは思わないが、過去に手が打たれている分野もある。
今回示した17分野を重点投資対象とするが、これだけ多くの分野に財政支援すると金額も巨大になる。さりとて、金額を多く出したから成果が上がるとは限らない。高市内閣はどれだけ本当に成果を上げられるかが問われる。
また、積極財政となると「ワイズスペンディング」(賢い支出)というキーワードが出てくる。従来は補助金の交付対象事業者は、配った後は成功しようがしまいが関係ないという状態だった。それでは成果が上がる保証はない。
例えば、成果が上がらないなら3分の1は返金という形で緊張感を与えて補助金を配る必要がある。「アウトカム・オリエンテッド・スペンディング」(成果志向の支出)にしていく必要がある。
財政に対する懸念の声もある。今回の政策は、あえて借金をしてでも、今年お金を使った甲斐があったと言えるものにお金を投資しているか?ということが問われる。お金は投じたけれども成果が出ないとなると無駄なお金だったと後ろ指を差されることになるため、事後検証が重要になる。
長期金利上昇のリスクについては、長期金利が上がると日本の財政にとって長きにわたって利払い費が増えるため、できれば避けたいところ。どうするかというと短期・中期国債を増やさざるを得ない。ただ、借りて返して、また借りるという自転車操業状態になってしまう恐れがある。
少数与党であるがゆえに、足元ではどうしても短期的な政策を打ち出さざるを得なくなっているようにも見える。
3年程度の中期的な財政計画は、あった方がいいと考えているが、少数与党内閣なので、財政運営に制約を課すようなことは連立を組む政党間で合意しない限りは難しいのではないかと思う。
「社会保障と税の一体改革」が言われて久しいが、日本の社会保障はどういう財源で賄われて、どういう使い道をされているか、いわゆる「玄人」が議論するだけでなく、一般の国民も、野党も参加できるような枠組みの構築は避けて通れないのではないか。
高市首相は税と社会保障の一体改革を議論するため、超党派の「国民会議」を設置すると発表したが、与野党の議論の場をつくって社会保障の仕組みや、どこに課題があるかについてコンセンサスを取っていかないといけない。
内閣府の2060年までの試算では2060年までの間に実質成長率1%強を実現すれば、消費税率を20%にまで引き上げなくても済むとされている。社会保障を充実させたいと思えば増税しなければお金がなく、負担増が嫌だということであれば給付を減らす必要がある。
与野党の議論はスタートラインにも立っていない。そこから始めてもらわないといけない。