丸亀製麺が店長の年収最大2000万円へ、業界最高水準に

粟田氏が新たな経営哲学提唱 心を最優先する〝心的資本経営〟

「飲食業界は今、省人化・機械化の流れにある。しかしわれわれは他の飲食店が行かない道をいく」─。「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングス社長兼CEOの粟田貴也氏は、新たな経営方針を示した。

 同社はこれまで、人による手づくり出来たてで差別化してきた。「機械にはできないことが、人に感動体験を与えること」(同)と強調し、新たに提唱したのは〝心的資本経営〟という粟田氏の経営哲学。これは、昨今言われてきた人的資本経営を深めたものである。

 〝心的資本経営〟は、従業員の心に中心を置き、従業員の意欲、積極性、充実を大事にし、より本質的で永続的な企業成長ができるという考え方。

 これまではトップダウン型のマネジメントだったところ、今後は各店舗に権限を持たせ、各店舗リーダーにこの心的資本経営を推進させていく。そのため勤務条件面も大きく変える。これまでの店長の年収520万円程度を、段階的に最大2000万円まで引き上げ可能な給与体系とする。

「丸亀製麺」はロードサイドへの出店戦略で、地方勤務の店長のキャリアアップは東京本社への赴任という道であった。しかしそうではなく、地方で店長が自らのキャリアを実現できる給与体系を設けることで、人材確保をしたいねらい。

 これに伴い新たな評価制度も設置。データサイエンスを活用して従業員と顧客の心の充実度を評価できるシステムを構築。既にテスト運営では従業員の離職率は前年比で12.9%減少し、顧客からの好意的リアクションは24.5%増加した。独自の道を歩む同社。今後はこの人件費をカバーしきれるくらいの成長がポイントとなる。