
万博に行って来た。当初、雑音も様々あったが、意外と面白かった、新技術を見た、海外旅行をした気分等、前向きコメントも多く、万博関係者に敬意を表したい。一方で一介の入場者として問題点も見えた。今後の国際イベント主催への戦訓として辛口印象を申し述べたい。
第一に、混雑が酷過ぎる。海外各国の誇る文化や新技術に、入場者が直接触れることができる、せっかくの機会が非常に少なくなってしまった。会場は展示場も大屋根リングもどこもかしこも大混雑。多くの展示場入場の為にデジタル機器での事前予約が必要だが、私自身の試みでは既に全て満席。なのに、予約不要展示場はもちろん、予約必要展示場も長蛇の列。前回1970年万博の入場者数は6400万人、今回は予想2500万人なのに何で大混雑なのか。広さは前回70年が330ヘクタール、今回は155ヘクタール。参加国は前回が70カ国、今回は158カ国。半分の面積に展示館数が倍以上に増えたことが理由なのか。私の場合、1日2万歩歩き、2日間で入れた展示場は6カ所のみだった。入場者が効果的に真に展示物に触れられるべく、何らかの追加的工夫が必須だ。
第二に公式テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」。先端技術紹介の場も様々ある由だが、会場の随所でこれがテーマだと分かる体裁ではなかった。そもそも、このテーマが現在の国際社会の課題なのか。このテーマに沿うべく日本館では藻だの発酵だの循環について展示していた。しかし、現在のAI・IoT等デジタル課題、ウクライナやイスラエルでの戦争・米中覇権争い等の地政学リスク、気候大変動、先進国の人口問題等々。現代の諸課題を更に深掘りし、万博テーマの表現を磨くべきだった。
第三に周囲の風景。チョットだけ海が望めるのだが、真っ平な敷地に会場があるだけ。文化とか歴史とか、あるいは明日の可能性とかの香りはゼロだった。夢洲を歩いていて夢が見えない。万博後に計画されているIR施設建設の為のクレーンが何十本も立っているだけだ。外国からの訪問客達に『これが美しい日本です、日本の素敵な明日です』と訴えられる佇まい、明るい世界の明日を感じられる設営は見えなかった。
例えば、シンガポールの空港から街に向かう道のような国の戦略を感じられる風景は創れなかったのだろうか。夢洲は未だ発展途上地なのかも知れないが、当面は殺風景なただの真っ平な平場だった。
国際イベントは、各国の本音を戦略的に発信し得る貴重な機会だ。知恵と熱意を懸命に注ぎ込んで、貴重な機会を活かし切るべきだと思う。