
高市早苗政権が発足前後、株価は上昇した。高過ぎではないかという見方もあるが、米国の暫定予算の通過、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げといった要因で、株価上昇の可能性がある。
株価の動きは、日経225は米ナスダックとの連動性が高い。2025年4月以降、ほぼ同じような動きで上昇しており、米国株が崩れない限り、「高市トレード」も崩れないのではないか。
為替は、FRBの利下げを織り込んでいるはずだが、円安傾向が続く。為替は短期金利よりも長期金利の差で動くが、米国の長期金利はジリジリ下がっており、日米金利差は縮小している。しかし円高にはなっていない。これは日本銀行の利上げに対する先送り観測が強いのではないかと感じざるを得ない。
高市首相は就任会見で、金融政策を含む経済政策の最終責任は「政府が持つ」との考えを改めて示した。以前と同様の主張を繰り返した形だが、日銀に自制を求めたという受け止めになっている。
高市首相は積極財政を進めると見られるが、長期金利は足元で1・6%台と比較的安定している。ただ、補正予算は10兆円を超えるとも言われており、その実現可能性を注視する必要がある。
先の選挙で、国民が与党に厳しい判断を下した一因は物価高だったが、高市政権で有効な手立てが見いだせるかというと難しいかもしれない。今の物価高は明らかに輸入インフレだが、まだ政権に配慮は見られない。
物価高対策として打ち出したのはガソリン税の旧暫定税率の廃止、冬場の電気・ガス料金の支援、高校無償化の3つ。合計で2兆6000億円ほどの予算だが、加えて地方への重点支援交付金も視野に入れているようだ。ただ、それでも10兆円にはならないので、他の対策が示されるかどうか。
また、日本維新の会との連立合意の中に、物価高対策として飲食料品にかかる消費税率を2年間免税とする案がある。ただ、文書の中では「飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う」(傍点編集部)とあり、実現は難しいのではないかと見る。
社会保険料負担の軽減も難しい課題。例えば、高齢者の負担増との見合いでの軽減される形が考えられるが、この層が選挙が実施された時に与党に対して、どのような投票行動に出るか。さらには、医療費削減の関係者は「伏魔殿」と言っていい状況。
補正予算に関するアイデアは11月にも出てくるが、政権発足直後の状況だけで言うと、成長戦略が見えず、財政・金融の拡張が主な政策となっている。
高市首相は日銀の利上げを警戒しているようだが、インフレが進む中、日銀が利上げしなければ、それこそ国民生活が難しい状況になるのではないか。さらに言えば、利上げで預金金利が上がれば、高齢者の懐が温かくなる。個人消費にもプラスになるが、この循環の実現の影響はガソリン税以上に大きい。
政権には、こうした視点も持って欲しい。