
2~3倍は作業時間を効率化
―― 2016年の創業から約10年が経とうとしていますが、地雷除去ロボットの開発状況はどうなっていますか。
今井 われわれは2017年から、カンボジアの政府組織「CMAC(シーマック=カンボジア地雷対策センター)」から要望を受け、地雷除去ロボットの開発を始めました。1年に1台のペースで試作機をつくってカンボジアに運んで試験を繰り返しました。現在は世代でいうと第7世代のロボットになります。
それがついに、日本政府が行う国際協力事業で、われわれのロボットが正式にカンボジアで配備されることになりました。3台のロボットが現在製造中で、日本政府の支援を受けたシーマックが調達し、来春から彼らがロボットを使った地雷除去活動をカンボジアで始めるということになりました。
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―― これはIOSにとってはかなり大きい出来事ですね。
今井 本当に有難いことで、この2年の間に安全性や適合性などのオペレーションテストを行い、シーマックから技術認証を受けました。その後、半年ほどでシーマックから「調達します」と声をかけていただきました。現在製造中のロボットを来年早々にカンボジアへ輸送し、われわれも現地で立ち上げ作業とトレーニングを重ね、稼働が始まることになります。
―― 改めて、地雷除去ロボットの開発に取り組む意義を説明してもらえますか。
今井 現在、世界中に数千万個から1億個の地雷が埋まっていると言われていて、全てを除去するには1000年以上かかるとの試算もあるほどです。
―― 気の遠くなるような話ですね。
今井 ええ。地雷問題を抱える国や地域は世界におよそ60ありまして、そこでは危険を伴う手作業で地雷除去が行われています。作業中に地雷が起爆してしまうことで、作業者が腕や足を失ったり、時には命を落とすこともあります。
地雷原の掘削を手作業で行うと、埋まっている地雷を発見するまで平均10~15分かかります。ところが、当社のロボットであれば、移動や据え付けにかかる時間を考慮しても5分で一カ所の掘削を終えることができるので2~3倍は作業時間を効率化することができます。
―― ウクライナの戦争は開始から3年半以上が経っているわけですが、ウクライナにも地雷は埋められていますか。
今井 ウクライナはロシアとの交戦によって世界最大の地雷汚染国になったと言われています。地雷埋設の可能性があるとされているエリアが17万4000㌔平米あると言われています。地雷除去を行う対象としては非常に広大な面積です。
地雷除去を長期にわたり続けてきたカンボジアのシーマックが2000人体制で地雷除去を行って、年間200㌔平米の安全化を達成しています。これはすごいことなのですが、ウクライナの汚染面積をみると、一体何年かかるんだという話になってしまいます。
国連機関のウクライナ復興支援プロジェクトにも採択
―― 今後はウクライナでのロボット活用を進めていく考えはありますか。
今井 もちろんです。「UNIDO(ユニド=国連工業開発機関)」に対し、日本の経済産業省がウクライナの復興支援のために資金を拠出しました。ウクライナの復興に寄与するあらゆる分野で新規事業や雇用創出を推進することを目的としていて、日本企業約40社が採択され、そのうちの1社に当社も選ばれました。
ウクライナでわれわれのロボットの一部をつくり、雇用創出につなげることができれば、地雷除去に加えて、新しい貢献の形が生まれると思いますので、今回の事業を活用し、ウクライナ進出の基盤をつくっていきたいと思っています。
―― カンボジアとウクライナ以外にも地雷除去を必要としている国はまだまだありますから、今後は活動範囲も広がっていきますね。
今井 スイスに「ジュネーブ国際人道地雷除去センター(GICHD)」という国際団体があるのですが、2023年に、ここで当社の圧縮空気採掘技術についてプレゼンテーションをさせてもらいました。
すると、世界30カ国ほどで地雷除去活動を展開している「HALO Trust(ヘイロー・トラスト)」という国際NGO(非政府組織)が興味を持ってくださいまして、その会議から半年後にカンボジアに来て、われわれの取り組みを視察に来てくれました。
また、昨年11月にはカンボジアで、今年6月にもスイスで行われたオタワ会議(対人地雷禁止条約)の日本政府共催イベントでプレゼンテーションを行いました。徐々にわれわれの取り組みを知っていただく機会が増えてきています。
日本には埋設地雷がありません。しかし世界には地雷によって安全が阻害され、発展がすすまずに悩んでいる国や地域が多くあります。そうした状況を少しでも解消できるよう、頑張っていきたいと考えています。