TSMCが2025年第3四半期(7~9月期)の決算概要を発表した。

それによると、売上高は前年同期比30.3%増、前四半期比6.0%増の9899億2000万NTドル、純利益が前年同期比39.1%増、前四半期比13.6%増の4523億NTドルと、いずれも四半期ベースでは過去最高を記録した。

  • TSMCの2025年第3四半期の業績概要

    TSMCの2025年第3四半期の業績概要 (出所:TSMC)

先端プロセスの売り上げが全体の74%に到達

同四半期の売り上げをプロセス別で見ると、3nmが全体の23%、5nmが37%、7nmが14%と、先端プロセス領域が全体の74%を占める結果となった。前年同期は69%であったので5ポイント増ということとなる。

  • 2025年第3四半期のプロセス別売上高比率

    2025年第3四半期のプロセス別売上高比率 (出所:TSMC)

また、最終用途別で見た場合HPC向けが57%、スマートフォン向けが30%、IoTおよび自動車向けが各5%となっており、HPCが前年同期比6ポイント増と伸ばしている。

  • 2025年第3四半期の最終用途別売上高比率

    2025年第3四半期の最終用途別売上高比率 (主所:TSMC)

地域・国別で見た場合、北米が76%と全体の3/4を超え、次いでアジア太平洋地区の9%、中国8%、日本4%、欧州3%と続く。日本は、前年同期比1ポイント減となり、熊本工場稼働による売上比率の増加は見られない。

  • 2025年第3四半期の地域・国別売上高比率

    2025年第3四半期の地域・国別売上高比率 (出所:TSMC)

通期売上高を上方修正

同社は、2025年第4四半期(10~12月)の売上高見通しについて、ドルベースで前年同期比で最大24%増となる322億~334億ドルと予想している。また、1ドルを30.6NTドルとする想定為替レートでは、粗利益率が59%~61%、営業利益率が49%~51%になると予想している。

この結果、同社は2025年通期の売上高見通しを、ドルベースで従来の約30%増から30%台半ばの増加に引き上げた。

米国の関税政策の影響はあるものの、旺盛なAI需要が今後も続く見込みであるとし、2025年の設備投資額の見通しについては従来の420億ドル規模を維持している。

同社のC.C.Wei CEOが決算説明会にて「AI需要は、3か月前に考えていたよりもさらに強くなっている。顧客から引き続き好調な見通しが示されていることは喜ばしい」と述べたほか、同社シニアバイスプレジデント兼CFOであるウェンデル・フアン氏も「第3四半期は、最先端プロセスに対する旺盛な需要に支えられた。第4四半期も、最先端プロセス技術に対する旺盛な需要が継続し、事業を支えると予想している」とAI需要が先端プロセス需要を押し上げていることを述べている。

TSMC熊本第2工場の建設に着工

なお、今回の決算説明会にて同社は、熊本県菊陽町の熊本第1工場(Fab 23 Phase1)の隣接地に計画している熊本第2工場(Fab 23 Phase2)について、「すでに建設を始めている」ことを明らかにした。

ただし「顧客のニーズや市場の状況に基づく」として、具体的な量産スケジュールについての明言は避けた。同工場は当初、2024年中に着工するスケジュールであったが、何回かの変更を経て、直近では2025年中に着工する予定としていた。TSMCは着工の遅れを地元の交通渋滞への影響を避けるためだと説明していたが、一部の業界関係者からは、世界的な成熟プロセスの需要低迷が影響しているのではないかとする指摘もある。