SpaceX(スペースX)は米中部時間10月13日午後6時23分、同社が開発したロケット「Starship」(スターシップ)の11回目の飛行試験を実施した。
テキサス州スターベースから打ち上げられたスターシップは、8台のスターリンクシミュレーター(模擬衛星)を宇宙空間で展開後、大気圏に再突入し、インド洋へ予定通りに着水成功。第1段のスーパーヘビーブースターも、テキサス州沖の着水予定地点に着水している。
今回は、第1世代スーパーヘビーブースターと第2世代スターシップの最終飛行であり、現在の構成の第1発射台からの最後の打ち上げでもあった。スペースXは「飛行試験の主要な目標はすべて達成され、次世代スターシップとスーパーヘビーの開発に向けた貴重なデータが得られた」としている。
飛行試験は、スーパーヘビーが33基のラプターエンジンすべてに点火し、メキシコ湾上空を上昇するところからスタート。第一段の上昇後、ホットステージング操作が行われ、スターシップの上段ロケットが6基のラプターエンジンに点火し、宇宙への飛行を継続した。
スーパーヘビーブースターは分離後、予定されていた13基のエンジンのうち12基を使い、テキサス州沖の着水予定地点に向けた帰還噴射を完了。前回の飛行試験と同じ迎え角で降下を続け、着陸噴射の高推力段階に向けて予定されていた全13基のエンジン(帰還噴射中に再点火しなかった1基を含む)を点火し、次世代ブースターに搭載予定の独自の着陸噴射を成功させた。スーパーヘビーは水面上でホバリングした後、エンジンを停止して着水している。
スターシップは上昇噴射を完了した後、計画通りの速度と軌道に達し、飛行中に8台のスターリンク模擬衛星の展開に成功。さらにラプターエンジンの3回目の宇宙空間再点火も行い、将来の軌道離脱噴射に向けた重要な能力を実証した。
地球大気圏に再突入したスターシップは、意図的に負荷をかけることで熱シールドの性能に関する多くのデータを収集し、機体の限界性能を検証。飛行最終段階では、将来のスターベース帰還ミッションで飛行する軌道を模擬するため、ダイナミックバンク操作を実施した。その後、スターシップは4つのフラップで、事前に計画していたインド洋の着水地点まで飛行。こちらも着水反転と着水噴射、軟着水に成功している。
同社は現在、次世代のスターシップとスーパーヘビーに焦点を移し、複数の機体を建造中で、試験に向けた準備を進めている。次世代機は、初のスターシップ周回飛行や運用ペイロードミッション、推進剤輸送などで使われ、その後は地球周回軌道や月、火星、さらにその先へ展開できる、“完全かつ迅速な再利用可能な機体”へと進化していくとのこと。




