エプソンが韓国のインクジェットスタートアップに出資

セイコーエプソンは4月15日、エプソンクロスインベストメントと共同で両社の出資するEP-GB投資事業有限責任組合を通じて、多様な産業領域において活用可能なインクジェット技術を有する韓国発スタートアップの「Gosan Tech」に出資を行ったことを発表した。

2015年設立のGosan Techは、インクジェット方式による有機EL(OLED)ディスプレイ用製造装置の開発・販売事業で培った、高いインク液滴の均一度・精密度を実現可能なインク供給システムやその圧力制御技術、シミュレーション技術などを有する韓国発スタートアップ。現在は、有機ELやダイレクトパーツマーキングなどのIT領域だけでなく、次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池を中心とする環境領域、薬剤・生体組織の液滴製造や病理検査装置といったバイオ領域の3領域で事業を展開しているという。

  • 「MERAKシリーズ」
  • 「MERAKシリーズ」
  • Gosan Techのインクジェットシステム「MERAKシリーズ」 (画像提供:エプソン)

成長が期待されるペロブスカイト太陽電池

その中でペロブスカイト太陽電池は、近年の活発な研究開発によって発電効率が向上していること、ならびに軽量・薄型で曲げやすく、インクジェットなどの生産技術を活用することで製造コストの低減が期待できるといったメリットがあることから次世代の再生エネルギー源として注目されており、Gosan Techでもインクジェット方式による薄膜品質に加え、厚み・材料・デザイン変調が可能で、発電力、デザイン性、材料使用率の向上を図ったペロブスカイト太陽電池モジュールおよびそのインクジェット製造システムなどの開発、販売を進めているという。

今回の出資に伴いエプソンでは、プリントヘッド外販ビジネスにおけるパートナー企業の1社として、Gosan Techに対し産業用途に適した高信頼・高精度なプリントヘッドを供給し、韓国の販売・サービス拠点であるEpson Koreaとも連携を図りながら同社の事業成長を支援していくとしており、Gosan Techと互いの強みを融合させることで相乗効果を生み出し、高いレベルの産業構造の革新と持続可能な社会の実現につなげることを目指していきたいとする。

また、プリントヘッド外販ビジネスにおいては、パートナーシップによるヘッド外販と周辺技術を含めたソリューションの提供を強化することで、ペロブスカイト太陽電池用途のみならず、産業構造の革新や環境負荷低減に貢献できる新たな市場において、インクジェット技術応用のエコシステム拡大の取り組みを加速し、パートナーとともに新たな市場創出を図っていきたいともしている。

なお、エプソンでは今後も、独自のテクノロジーや商品・サービスを基盤に、さまざまなパートナーとの共創を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとコメントしている。