
「涼しいとか、暖かいといった機能性の部分をユニフォームに求めることが増えてきたように思う」
ファーストリテイリング グループ上席執行役員の柳井康治氏はこう語る。
ファーストリテイリング傘下のユニクロがユニフォーム事業を強化している。ここ数年の働き方改革の影響もあり、学校や企業の現場において、仕事着や制服に通気性や動きやすさなどの機能性を求める傾向が増加しているからだ。
記憶に新しいのは、2022年、さいたま市立大宮北高校が既存の制服と並行して、全国で初めてユニクロを制服に採用したこと。最近は同校の他にも、生徒がユニクロの服を制服に選択できる学校が増えている。
企業でも、格安航空会社のピーチ・アビエーションは、旅客ハンドリングスタッフがユニクロの『感動ジャケット』や『スーパーノンアイロンスリムシャツ』などを着用。神奈川トヨタ自動車でも営業職員が『ドライノンアイロンジャージーシャツ』を着て、接客している。手頃な価格でまとまった数量を揃えられる点が企業や学校にウケているようだ。
このような流れを受け、ユニクロの服を仕事着や制服として活用している企業や学校、スポーツチームの数は、2026年8月期中に2万件を超える見通し。今後、同社は営業や生産体制を強化する方針だ。
ファーストリテイリングの今期(2025年8月期)業績は、売上収益3兆4000億円(前年同期比9.5%増)、営業利益5450億円(同8.8%増)と、増収増益の見通し。
ただ、成長の源泉はアジアを中心とした海外ユニクロ事業。ユニクロの国内店舗は今年8月末時で784店舗を展開しているが、2013年8月末時の834店舗から減少傾向にある。
少子高齢化・成熟化した国内市場でいかに新たな需要を掘り起こしていくか。同社がユニフォーム事業を強化するのは、そうした背景があるのだろう。