Intel(インテル)は、米オハイオ州における数十億ドル規模の半導体製造工場の建設が遅れていることについて、共和党の米国上院議員のBernie Moreno(バーニー・モレノ)氏から情報開示を求められた後も、大規模工場計画を継続する姿勢を示している。
2030年にオハイオ州の工場開設延期のインテルに米議員が指摘
モレノ議員は先週、CEOのLip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏宛てに書簡を送り、オハイオ州で建設予定の工場の完成時期について最新情報を求めた。同工場は当初2025年に稼働予定だったが、今年2月に2030年まで延期すると発表。また、遅延による同州への経済的影響の評価も求め、同社に対して10日以内の回答を要求した。
この書簡について質問されたインテルは声明を発表し「米国の技術と製造業のリーダーシップを推進することに引き続き取り組んでいる」と述べた。
広報担当者を通じて提供された声明では「地元関係者、オハイオ州議会、州政府と緊密に連携し、州のニーズとインテルの優先事項を前進させている」とし、同プロジェクト「Ohio One」は「米国内で最先端の製造能力を拡張するという長期計画の重要な一部である」と強調している。
モレノ議員による情報開示要求は、米国政府が苦境にあるインテルの株式10%を取得する計画を発表した約1カ月後だった。同計画はドナルド・トランプ米大統領の支援を受けており、先月にホワイトハウスでトランプ氏とタン氏の会談数日後に実現。
オハイオ州の工場はインテル再建の象徴
インテルの株価は今年に入り66%以上も上昇しており、米国政府の投資に加え、NVIDIAやソフトバンクグループによる出資契約が追い風となっている。
この決定は同社の再建計画にとって打撃となり、2022年にジョー・バイデン前大統領が署名した超党派の「Chips and Science Act」による米国製造業拡大の目標にも影響を与える可能性がある。バイデン氏は同年、工場の起工式にも出席していた。
モレノ議員は書簡の中で「オハイオ州の納税者や電力利用者が不利益を被っていないかを確認し、この投資が見せかけや、さらに悪い場合は詐欺でないことを確かめたい」と述べている。また、インテルが工場の遅延に伴うオハイオ州および州民への費用を「軽減する提案」も求めた。
インテルの声明では、工場遅延による経済的影響や州への補償に関する質問には触れられていない。モレノ議員によれば、州は20億ドルの公的インセンティブと、約7億ドルの新たなインフラ整備を提供している。
売上減少と損失拡大に苦しむインテルは、製造能力拡張の取り組みを縮小しており、オハイオ州の工場は同社の再建の象徴であると同時に、米国が国内半導体生産を再構築しようとする広範な取り組みの象徴でもある。同社は工場を世界最大の半導体施設にするという野心を抱いている。声明では「顧客の需要に応じて、スケジュールを柔軟に調整する能力を今後も維持していく」と述べている。10月1日付のBloombergが報じている。
