OKIエンジニアリング(OEG)は、静電気放電への耐性を評価する国際試験規格の最新版として2025年3月に発行された「IEC 61000-4-2 Ed.3」に対応した静電気放電(ESD)試験サービスを、10月1日より開始することを発表した。
最新規格への対応により3年間で3億円の売り上げを目指す
電磁両立性(EMC)試験のひとつであるESD試験とは、人体が電子機器に触れた際に発生する静電気放電を模擬し、静電気への耐性を評価することで、市場における静電気による誤動作や故障を未然に防止するもの。電子機器の高度化が続く中、製品の信頼性や安全性を確保するため、ESD試験の国際基準であったIEC 61000-4-2は、2025年3月に現在のEd.3として改訂された。
この改訂では、試験手順や印可する放電電流波形が見直され、特に欧州向け製品に対しては「CEマーキング」(CE自己適合宣言)により最新規格への適合が求められることに。そのためセットアップメーカーは、市場参入および製品安全に関わるリスク回避や競争力確保の観点からも、迅速な対応が求められている。
しかし現在、国内の試験受託企業ではまだ最新規格に対応した試験環境が整っていない。とはいえセットアップメーカーが独自で試験体制を構築するには、多大な時間やコストを負担する必要があるなど、課題に直面していたという。
そうした中、OKIグループで信頼性評価および環境保全の技術サービスを展開するOEGは、従来からIEC 61000-4-2の評価を提供していた体制を強化し、最新規格に対応した試験設備や技術者の体制を整備することで、迅速かつワンストップでのIEC 61000-4-2 Ed.3対応ESD試験サービスを可能にしたとする。
同社は新サービスにおいて、試験時の放電箇所選定などの技術サポートに加え、試験中に電子部品の故障や不具合が発生した場合には、故障原因を究明する故障解析サービスまでもワンストップで対応可能とのこと。これにより顧客は、電気製品の試作や設計の初期段階から、効率的に最新のEd.3規格への適合性を確認でき、電気製品の開発期間短縮、および最新規格による製品安全性の担保が可能になるとした。
なおこのESD試験サービスについては、10月1日より電子機器セットアップメーカー向けに提供を行い、製品の試作段階から完成品までの対応により、3年間でESD試験関連で3億円の売り上げを目指すとしており、今後も国内外の法規制や市場要求の変化にも迅速に対応しながら、試験技術の向上や設備の充実を図ることで、顧客の製品開発・製造・販売を支援していくとしている。
