世界中で進む2nmプロセス開発

TSMCが2nmプロセス(N2)の量産を2025年後半に予定しているほか、Samsung Electronicsも同様のプロセス(SF2)の提供を目論む中(IntelもN2相当の「Intel 1.8A」の量産を年内に開始することを計画)、SmansungとIntelはTSMCとの差を縮めることを目指して外部顧客の獲得に躍起になっている。

そうした状況の中、Samsungのファウンドリ事業であるSamsung FoundryはNVIDIAのGPUとQualcommのスマートフォン(スマホ)向けアプリケーションプロセッサ(AP)に向けたSF2のパフォーマンステストの最終段階に入ったと複数の韓国メディアが報じている。

  • Samsung Foundryのロジックプロセスロードマップ

    Samsung Foundryのロジックプロセスロードマップ。2025年中に2nm(SF2)プロセスの量産を開始し、1.4nm(SF1.4)は2027年に量産開始の予定 (出所:Samsung)

2nmプロセスの歩留まりが40%を突破

TSMCやIntelが2nmクラスのプロセスから採用するゲートオールアラウンド(GAA)ナノシートFETを、Samsungは他社に先駆ける形で3nmプロセスから採用したが、GAA構造の製造は難しく、長期にわたって歩留まり低迷が続いたが、そこで得た経験が徐々に実を結び、3nmプロセスの歩留りは60%を超え、SF2の歩留まりも40%を超えた模様だとChosun Bizが伝えている。

また、ソウル経済新聞電子版によると、対象となるQualcommのAPはSnapdragon 8 Elite 2である可能性が高いという。すべてが計画通りに進めば、TSMCは2025年後半に3nmプロセスでこれを生産する予定だが、SamsungはSF2で先行生産することを目指しており、2026年後半までに同社のスマホ「Galaxy」の一部ハイエンド品に搭載される予定だという。

この案件が進めば、Samsungにとって3年ぶりのQualcomm製APの受注獲得となるが、SamsungがSF2の生産ラインを満たすために自社製半導体「Exynos 2600」だけに頼っているわけではないことを示す取り組みになると同紙はは指摘している。

一方、SamsungとNVIDIAの進捗状況の詳細は不明だが、NVIDIAとQualcommはTSMCと2nmプロセスで協力関係にあり、複数購買戦略の一環としてSamsungとの共同生産も検討している模様である。NVIDIAとしては、次世代GPUの製造拠点の1つとしてSamsungを検討しているとする報道もある。

TSMCの2nmプロセスは歩留まりがすでに70%台に達しているとも言われており、歩留まりの点でSamsungは水をあけられていると見られている。また、競合3社のうち、もっとも早く量産を開始するとも見られており、SamsungおよびIntelは、2025年後半に歩留まりを大幅に向上させ、キャッチアップを進めていくというプレッシャーに直面していると言える。