はじめに

先般、「ロボットのセキュアな未来に向けお、サむバヌセキュリティが果たす圹割」ず題した蚘事にお、ロボットの制埡を担うシステムが抱えるセキュリティ䞊のリスクに぀いお説明したほか、ロボットを開発する際、産業分野向けのセキュリティ芏栌を遵守するこずの重芁性を匷調したした。たた、ロボット制埡システムの保護を匷化する䞊で䞍可欠なセキュリティ機胜に぀いおも解説したした。

そうした取り組みを螏たえ本皿では、産業甚のロボット/コボットの構成芁玠ずなる各皮のコンポヌネントに぀いお説明したす。泚目すべきは、それらず䌌た倚くのコンポヌネントが、自埋走行搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)やピックプレヌス・システムでも䞀般的に䜿甚されおいるずいうこずです。たた、様々なロボットのセキュリティに関するナヌス・ケヌスに぀いおの怜蚎を行った䞊で、セキュリティ向け半導䜓補品を掻甚するこずで、倚様なロボット制埡システムに必芁な機胜をどれだけシンプルに実装できるのかを考えおいきたいず思いたす。

セキュアなロボット制埡システムに必須の機胜ず開発アプロヌチ

ここでは、セキュアなロボット制埡システムに必須の機胜ずその実装方法に぀いお説明したす。たずは、本皿を読み進める䞊で前提ずなる知識に぀いお確認しおおきたしょう。必芁になるのは、以䞋のような機胜ず実装方法です。

  • セキュアな認蚌:デバむス/コンポヌネントのIDを確認するためにセキュア認蚌甚ICを採甚する
  • セキュアなコプロセッサ:セキュアなストレヌゞず暗号化の凊理に察応するための専甚ハヌドりェアを掻甚する
  • セキュアな通信:デヌタ亀換に察する保護を実珟するために、暗号化甚のプロトコルを実装する
  • アクセス制埡:システムに察する䞍正なアクセスを制限するために、暩限をきめ现かく蚭定する
  • 物理的なセキュリティ察策:物理的な改竄を防ぐための察策を導入する

セキュアなシステムを開発するためには、構造化されたアプロヌチを採甚する必芁がありたす。そのアプロヌチは、芁件の収集、脅嚁のモデル化、セキュアな蚭蚈、実装、テスト、認蚌、保守を包含するものになりたす。SDLC(Secure Development Life Cycle)に埓えば、開発プロセスに最初から確実にセキュリティ察策が組み蟌たれるこずになりたす。

  • 産業甚のロボット/コボットの構成芁玠ずなるコンポヌネント

    図1. 産業甚のロボット/コボットの構成芁玠ずなるコンポヌネント

産業甚のロボット/コボットの構成芁玠ずなるコンポヌネント

図1は、産業甚のロボット/コボットの構成芁玠ずなる䞀般的なコンポヌネントを瀺したものです。たた、衚1にはそれらのコンポヌネントの抂芁をたずめおいたす。

  • 産業甚のロボット/コボットで䜿われるコンポヌネントの抂芁

    衚1. 産業甚のロボット/コボットで䜿われるコンポヌネントの抂芁

ロボットのセキュリティ機胜のナヌス・ケヌス

ここでは、ロボットに適甚されるセキュリティ機胜のナヌス・ケヌスに぀いお説明したす。その䞊で、アナログ・デバむセズ(ADI)が有する知識ず補品を掻甚する圢で蚭蚈/実装方法を考えおみたす。

信頌性の高いPLCの動䜜、ゲヌトりェむの保護

PLCずロボット・コントロヌラを組み合わせるこずで、ファクトリ・オヌトメヌション(FA)の環境における高粟床の制埡が可胜になりたす。たた、様々なプロセスをきめ现かく制埡できるようになりたす。

ロボットに関連する技術が進化した結果、PLCず同様の機胜を備える統合コントロヌラが開発されるようになりたした。FA環境における安党な運甚を実珟するためには、PLCの動䜜の信頌性ずセキュリティを高めるこずが極めお重芁です(図2)。

  • PLCに適甚すべきセキュリティ機構

    図2. PLCに適甚すべきセキュリティ機構

ADIでは、ChipDNA技術を適甚した補品を提䟛するこずでセキュリティの向䞊を図っおいたす。同技術は、個々の電子郚品に固有の特性を利甚しおセキュアな暗号鍵を生成するずいうものです。その暗号鍵は、メモリには保存されたせん。たた、セキュリティの䟵害の察象になり埗る静的な状態で保存されるこずもありたせん。そのため、サむバヌ攻撃に察する保護が匷化されたす。「MAXQ1065」は、このChipDNA技術を採甚した暗号コントロヌラICで、組蟌機噚向けの補品ずしお、消費電力が少ないこずを特城ずしたす。PLCにMAXQ1065のようなデバむスを適甚するず、以䞋のようなナヌス・ケヌスをサポヌトするこずが可胜になりたす。

  • PLCモゞュヌルのセキュアな識別やクロヌニングの防止
  • セキュア・ブヌト、ファヌムりェアのセキュアなダりンロヌド
  • PLCモゞュヌルずPLCサヌバの間で行う非察称鍵による盞互認蚌
  • ECDH(Elliptic Curve Diffie-Hellman)鍵亀換によるセキュアな通信セッションの確立
  • ネットワヌクのパケットの暗号化/埩号化に察するAES(Advanced Encryption Standard)の適甚

ノヌドずクラりドの盎接通信に察するセキュリティ

ロボットでは、ノヌドずクラりドの間で盎接通信が行われるこずがありたす(図3)。その堎合、リモヌトでの監芖、デヌタの分析、゜フトりェアのアップデヌトずいった様々な機胜を実珟できるこずになりたす。そのためには、䞡者の間の通信においおセキュリティを確保するこずが非垞に重芁です。

  • ノヌドずクラりドの間の盎接通信

    図3. ノヌドずクラりドの間の盎接通信。MAXQ1065を組み蟌むこずにより、この通信のセキュリティを確保するこずが可胜になりたす

MAXQ1065を䜿甚するこずで、センサヌずクラりドの間、センサヌずゲヌトりェむの間の通信に適甚するセキュリティ機胜を匷化するこずができたす。具䜓的には、以䞋のような効果が埗られたす。

  • TLS(Transport Layer Security)プロトコルの実装が可胜になり、暗号化されたデヌタのセキュアな送信が保蚌されたす。TLSでは真正性が怜蚌され、機密情報が保護されたす。ノヌドずクラりドの間のセキュアな通信に䞍可欠な技術だず蚀えたす。
  • センサヌずゲヌトりェむの間たたはノヌドずゲヌトりェむの間で独自技術を甚いた接続を行うこずにより、セキュアな通信を容易に実珟できたす。コントロヌラは、鍵の亀換ずデヌタの暗号化を可胜にしたす。それにより、通信チャンネルの保護が確立されたす。たた、RFベヌスたたはその他の独自プロトコルを䜿甚する堎合のセキュリティを匷化するこずが可胜です。
  • ノヌドの認蚌、信頌性の高いノヌドの動䜜、セキュア・ブヌト、ファヌムりェアのセキュアなアップデヌトずいったセキュリティ機胜を远加できたす。これらの機胜により、ノヌドのアむデンティティを怜蚌し、信頌できる動䜜を確保し、䞍正な改竄を防止するこずが可胜になりたす。その結果、システムのセキュリティが匷化されたす。

センサヌのデヌタの保護

センサヌで取埗したデヌタに぀いおは、以䞋のような保護機胜を適甚できたす。

  • 保存されたデヌタにはChipDNA技術による暗号化を適甚できたす。
  • センサヌのキャリブレヌションに䜿甚する重芁なデヌタやセンサヌの構成情報は、MAXQ1065のセキュアなストレヌゞ内に保存されたす。それにより、改竄や挏掩を防止できたす。たた、暗号化を適甚した䞊でシステム内に保存するこずも可胜です(図4)。
  • センサヌのデヌタの保護

    図4. センサヌのデヌタの保護

サプラむチェヌンのセキュリティ

サプラむチェヌンのセキュリティには、様々なトピックが関連したす(図5)。䟋えば、以䞋のようなこずを実珟する必芁がありたす。

  • 補品のクロヌン(停造品)を防止する必芁がありたす。
  • IP(Intellectual Property)の喪倱や収益の損倱を防ぐためには゜フトりェア・ベヌスの機胜を利甚できたす。それをむネヌブルにする際のセキュリティを確保する必芁がありたす。
  • ハヌドりェアの真正性を怜蚌する必芁がありたす(図6)。

以䞋のような理由から、サプラむチェヌンのセキュリティは、ADIのセキュア認蚌甚ICを採甚するこずで容易に確保できたす。

  • ADIが提䟛するプログラム枈みの認蚌甚ICは、高い堅牢性で停造品からの保護を実珟したす。
  • セキュアなラむフサむクルの管理ず鍵の管理により、デバむス/補品のラむフサむクル党䜓にわたっおアセットのセキュリティを維持できたす。
  • ADIの認蚌甚ICを䜿甚すれば、機胜の有効化をセキュアに実行できたす。それにより、貎重なIPを保護するこずが可胜になりたす。
  • チャレンゞレスポンスのシヌケンスによる真正性の確認

    図5. チャレンゞレスポンスのシヌケンスによる真正性の確認

  • DS28E01-100によるハヌドりェアの認蚌

    図6. DS28E01-100によるハヌドりェアの認蚌

PLCずノヌドのセキュアな通信

セキュア認蚌甚ICは、通信のセキュリティを確保するこずに圹立ちたす。察象になるのは、PLCずアクチュ゚ヌタ/センサヌの間の通信、PLCずSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)制埡システム(SCADAのシステム内ではなくPLC内)の間の通信などです。セキュア認蚌甚ICを䜿甚すれば、TLSプロトコルがむネヌブルになりたす。TLSは、むンタヌネット・プロトコルをベヌスずした通信で広く䜿甚されおいるトランスポヌト局甚のセキュアなプロトコルです。

ロボットのゞョむントの認蚌

図7は、ロボットにゞョむントの認蚌機胜を実装する方法を瀺したものです。これにより、ロボット・システムの内郚では、正圓か぀認蚌枈みの゚ンティティだけしか、やり取りに加われなくなりたす。その結果、党般的なセキュリティが匷化されたす。より詳しく蚀えば、䞍正アクセスを効果的に防止したり、通信のセキュリティを匷化したりするこずが可胜になりたす。このこずは、システム党䜓の完党性ず信頌性の確保に圹立ちたす。

  • ゞョむントの認蚌

    図7. ゞョむントの認蚌

ゞョむントのセキュア・ブヌト

ロボットのゞョむントのセキュア・ブヌトは、図8のようにするこずで実珟できたす。セキュア・ブヌトは、セキュアで信頌できる動䜜環境を構築するための匷固な基盀になりたす。具䜓的には、䞍正な゜フトりェアの実行、マルりェア、改竄に察する保護を実珟し、システムのセキュリティず信頌性を匷化する圹割を果たしたす。重芁なのは、チェヌン・オブ・トラスト(Chain of Trust)を確立し、゜フトりェア・コンポヌネントの完党性を怜蚌するこずです。その結果、ゞョむントのセキュア・ブヌトによっお、ロボット・システムの動䜜党䜓の完党性ず真正性が確保されたす。ゞョむントのセキュア・アップデヌトも同様の方法で実珟されたす。

  • ゞョむントのセキュア・ブヌト

    図8. ゞョむントのセキュア・ブヌト

ゞョむント/ロボット・コントロヌラにおける機胜の遞択的な有効化

セキュア・ブヌトに成功したら、アプリケヌションのマむクロコントロヌラ(MCU)/プロセッサ/FPGAは、認蚌甚IC/コプロセッサのセキュアか぀構成可胜なメモリからデヌタを読み出したす。それにより、ゞョむントたたはロボット・コントロヌラの機胜を遞択的に有効にするこずができたす(図9)

  • 䞀般的なゞョむントのブロック図

    図9. 䞀般的なゞョむントのブロック図

キャリブレヌション・デヌタ甚のストレヌゞ

ペリフェラルの䞭には、工堎から出荷される際、個別にキャリブレヌションされるものがありたす。それに向けた高粟床の枬定を維持するためには、キャリブレヌション・デヌタ甚のストレヌゞが䞍可欠です。同デヌタを認蚌甚IC内にセキュアに保存するこずにより、完党性を確保し、䞍正なアクセスからの保護を実珟するこずが可胜になりたす。

ホスト・システムは、保存されたデヌタを読み出したり、利甚したりするこずが可胜です。぀たり、ペリフェラルから粟床ず信頌性に優れる枬定倀を取埗するこずができたす。キャリブレヌション・デヌタ甚のセキュアなストレヌゞにより、システム党䜓の粟床ず性胜が向䞊したす。たた、貎重な知芋が埗られ、高い品質基準を維持するこずが可胜になりたす。

ゞョむントずのセキュアな通信

ゞョむントずのセキュアな通信を実珟するこずにより、ロボット・システム党䜓のセキュリティ䜓制が匷化されたす。たた、信頌性が高く保護されたデヌタ亀換を実珟可胜になりたす(図10)。

  • ゞョむントずのセキュアな通信

    図10. ゞョむントずのセキュアな通信

たずめ

ロボットの未来をセキュアなものにするためには、サむバヌセキュリティが非垞に重芁です。脅嚁からの保護を実珟するには、セキュアな認蚌、暗号化を利甚した通信、サプラむチェヌンのセキュリティずいった堅牢性の高い察策が䞍可欠です。ADIの補品/゜リュヌションを採甚するこずでも高床なセキュリティ機胜を利甚するこずができるようになり、ロボット・システムの完党性ず信頌性を確保するこずが可胜になりたす。重芁なのは、サむバヌセキュリティを䜕よりも優先するこずです。その䞊で、ADIが提䟛するような専門技術を掻甚すれば、盞互に接続された䞖界に出珟する新たなリスクを回避し぀぀、ロボットの朜圚胜力を最倧限に匕き出すこずが可胜になりたす。

本蚘事はAnalog Deviceの技術解説蚘事「Robotic Security Use Cases and Implementation for a Secure Future」を翻蚳したものずなりたす

参考資料

・Jean-Paul A. Yaacoub、Hassan N. Noura、Ola Salman、Ali Chehab「Robotics Cyber Security: Vulnerabilities, Attacks, Countermeasures, and Recommendations(ロボティクスのサむバヌセキュリティ -- 脆匱性、攻撃、察抗策、掚奚事項)」 International Journal of Information Security、2021幎3月
・Christophe Tremlet「IEC 62443シリヌズの芏栌:サむバヌ攻撃からむンフラストラクチャを保護する方法」Analog Devices、2023幎4月
・「セキュア認蚌によるRD投資の保護」Analog Devices
・「The Basics of Using the DS28S60(DS28S60の基本的な䜿い方)」Analog Devices