Intelがイスラエルで進めていた250億ドル規模の投資による半導体新工場建設を中止した模様だと現地イスラエルの複数のメディアが報じている。

それによると工場建設を請け負っていた複数の業者が、Intelから建設契約の解除命令を受け取ったとしているほか、複数の業者が現在交渉を行っている最中だという。また、イスラエルメディアの中には、Intel Israelの複数の幹部社員が、米国オハイオ州で建設中の新工場へ転勤となったことを伝えているものもある。ただし、この工場拡張工事の中止が一時的なものかどうかは不明であるともしている。一方で、イスラエル財務省高官は、Intelへの補助金支給に変更はないと述べている。

Intelは、この件について明確な答えを公式には発しておらず、「イスラエルは今後も当社の主要な世界的製造および研究開発拠点の1つであり、当社は引き続きこの地域に貢献していく。世界中のIntelの拠点における生産の拡大範囲と拡大率は、多くの変化要因によって決まる。この規模のプロジェクトを管理するには、通常、スケジュールの調整が必要である。当社の決定は、ビジネス状況、市場動向、資本管理における責任に基づいている」とメディアに対して回答しているという。

イスラエルのテレビ局N12は、「Intelは作業中止の理由を明らかにしていないが、半導体市場での主導権をNVIDIAに奪われた状態であり、巻き返しを図る必要がある。そうした状況にあって、Intelのようなグローバル企業であってもイスラエルに資金を投資するかどうかが検討対象になっているのだろう」と解説している。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2023年12月26日、2023年6月にIntelがイスラエルに約250億ドルを投じて新たな半導体工場を建設するとの声明を発表したのを受け、イスラエル政府として32億ドルを助成することでIntelと合意したことを発表。Intelもこの250億ドルの投資を対外的に認め、工場建設に着工していた。

なお、Intelの計画によると、イスラエル中部にあるキルヤット・ガト(ガザ地区から42km)の半導体工場を拡張することになっていた。Intelの資料によるとIntel Israelはイスラエル内に複数の半導体開発ならびに製造拠点を所有、延べ1万2000人の従業員が働いており、年間87億ドルの輸出実績があるという。