STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は5月31日(欧州時間)、同社の拠点があるイタリアのカターニャに新たにパワーデバイスおよびパワーモジュール製造に向けた新たな200mmウェハ対応SiCデバイス製造施設を建設することを発表した。

  • 「Silicon Carbide Campus」完成イメージ

    イタリア・カターニャにおける「Silicon Carbide Campus」完成イメージ

同施設では、すでに同じ拠点で建設が進められているSiCウェハの製造施設と併せて、前工程に加え、テスト工程ならびにパッケージング工程という後工程拠点も設置される予定で、ウェハからデバイスまで垂直統合で製造される「Silicon Carbide Campus」が形成されることになると同社では説明している。

また、このSilicon Carbide Campusの設立は、自動車、産業、クラウド・インフラなど、SiC製品を使用する各分野の顧客による電動化への移行や高効率化をサポートするための重要なマイルストーンになるともしており、同社ではここを自社のSiCエコシステムの中心として機能させることを計画。SiCウェハ開発、エピタキシャル成長工程、200mmウェハによる前工程、モジュール組み立て工程を含む製造フローの全工程に加え、プロセス研究開発や製品設計、チップ/パワー・システム/モジュール用の先端研究開発ラボ、および完全なパッケージング工程を統合するとしている。

なお、この新たな製造施設は2026年より生産を開始し、2033年までにフル稼働することを目指すとしており、フル稼働時には最大で週当たり1万5000枚のウェハが生産される計画。投資総額は約50億ユーロを見込んでおり、その中には欧州半導体法の枠組みにおいてイタリア政府から提供される約20億ユーロの支援が含まれる予定だという。

同社は現在、SiCのフラッグシップ製品をイタリアのカターニャ工場とシンガポールのアン・モ・キョ工場にある2つの150mm SiCウェハ製造施設において量産しているほか、3つ目の製造施設としてる三安光電社との合弁事業の形で中国の重慶にST専用の中国市場向け200mm SiCウェハ製造施設を建設中。これらのSiCウェハ製造施設は、モロッコのブスクラ工場および中国の深セン工場にある、自動車向けに認証を受けた組立・テスト施設によりサポートされているほか、SiCウェハの研究開発および製品化は、SiCウェハ製造施設によって生産を拡大しているスウェーデンのノルショーピン工場ならびにカターニャ工場で行われており、この2つの拠点には、同社のSiC製品の研究開発および設計に携わるスタッフの大半が在籍しているという。