島津製作所は、7月26日に同社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドの「Shimadzu Future Innovation Fund(Shimadzu FIF)」を通じ、独自の免疫測定技術を保有するイムノセンスに出資したことを発表した。

臨床現場即時検査(POCT)は、感染症の検査や生活習慣病などの早期発見、疾患の予防などに寄与するとして注目されている。POCTでは、簡易検査キットを用いるものと大型検査機による検査の2種類が存在する。このうち前者は簡便かつ安価だが、感度や定量性に課題があり、一方の後者は精密な測定が可能ではあるものの、装置を持たない医療機関では外部に検査を依頼する必要が生じていた。

今回出資を受けたイムノセンスは、大阪大学(阪大) 産業科学研究所の民谷栄一特任教授が率いる阪大発スタートアップで、免疫反応と電気化学反応を組み合わせて開発した免疫測定法「GLEIA(Gold Linked Electrochemical Immuno Assay)」の社会実装を目指している。同測定法は、小型な測定器で大型検査機と同程度の高感度を実現しているため、臨床現場でのPOCTだけでなく、災害現場での緊急検査や感染症の水際対策への応用も期待されている。

これまで、分析装置や画像診断装置を中心に臨床診断事業に取り組んできた島津製作所は今般、イムノセンスが独自に保有するGLEIAに将来性を見出し、Shimadzu FIFから出資を行ったとする。今後はイムノセンスの事業を支援することで、臨床診断分野の発展に貢献していくとしている。