2023年7月12日から14日まで東京ビッグサイトにて開催されていた、医療や福祉分野に向けた機器やシステムなどの展示会「国際モダンホスピタルショウ2023(IMHS2023)」で島津製作所は、今の時代に合わせたキャッシュレス対応の受付システムや診療費支払機、および排尿量測定システムなどの展示を行った。

  • 国際モダンホスピタルショウ2023における島津製作所展示ブースの様子

    国際モダンホスピタルショウ2023における島津製作所展示ブースの様子

キャッシュレス対応受付システム「MERSYS-X」

中でも注目を集めていたものが、患者と医療施設をつなぐ受付システム「MERSYS-X」だ。

  • 受付システム「MERSYS-X」

    島津製作所の受付システム「MERSYS-X」。人感センサで人が近づくと音声ガイドが流れる

このシステムを使用すれば、来院した患者自身が画面を操作して診察券を受け取ることができるため、人を介さずに受け付けを済ますことができる。入力された情報は診察案内システムに移送され、院内側もスムーズに患者への対応をとることができるほか、会計案内システムとも連携することで患者自身が診察を終えた後にスムーズに支払いを行うこともでき、患者側の時間短縮、医療機関側の業務効率化を図ることができるとする。

現在、新型コロナウイルスの影響もあり患者側の立場として「院内にできるだけ長居したくない」と感じている人が多いとのこと。そうした中、非接触かつスムーズな受け付けおよび支払いができることで、時間を有効活用してもらえるだろうとブース担当者は語っていた。

また、クレジットカードが利用可能な医療機関が増えてきているものの、QR決済といったクレジットカード以外のキャッシュレス支払いに対応したシステムはまだまだ普及しておらず、各所から要望があったこともあり、このたびキャッシュレス対応の仕組みを取り入れたという。

コロナ禍を経て現金を持たない人も増えてきており、そうした現金を持ち歩かない人が医療機関を受診するためだけに現金を銀行口座から引き出す手間を省くことができるほか、支払いの際の金銭の授受におけるミスを軽減させることにつながるだろう。さらに、高額な医療費が手渡しで行われる際の金銭管理に対するストレスが職員にかかることもあるともしており、そうした職員のストレス軽減にも効果があるだろうともしている。

  • 医療明細書や診療費領収書なども「MERSYS-X」から受け取ることができる

    医療明細書や診療費領収書なども「MERSYS-X」から受け取ることができる

キャッシュレス対応の受付システムという医療機関の新しい流れを形作ることを目指す姿を示した島津製作所だが、現状、医療機関でキャッシュレス化が進んでいるイメージは薄い。そこにはキャッシュレスによる支払いの手数料が高いという障壁があるとし、キャッシュレス対応の医療機関が増えることで手数料の下げを期待したいとしている。今後も、患者側、医療機関側の双方にとってより良いものを提供していきたいとブース担当者は語っていた。

採尿不要の排尿測定システム「Urina」

MERSYS-X以外にも注目を集めていたのが、採尿をせず排尿量の測定ができるシステム「Urina」である。

  • 採尿不要の排尿測定システム「Urina」

    採尿不要の排尿測定システム「Urina」

排尿量の測定を行う際、一般的に尿カップに患者の尿を入れ、尿量を読む作業を看護師が行うのが通例だ。しかし、実際の現場では尿がこぼれたり、採尿するのが大変なため検査自体を拒む患者もいるという。また、汚れた場所は適切な処理が必要となり看護師の業務量の増加につながる。

そこで生み出されたのが「Urina」だ。使い方としては排尿前に計測器に乗り、トイレで排尿、排尿後に再度計測器にのるだけで完了する。得られた情報はナースステーションに自動的に送られるため、看護師がその都度計量器を見にこなくても良いという。

  • トイレ付近に設定されることが多い「Urina」だが、情報はスタッフステーションに自動的に送られる

    トイレ付近に設定されることが多い「Urina」だが、測定された情報はナースステーション(スタッフステーション) に自動で送られるため、直接見に来る必要はない

至ってシンプルであり誰でも考え付きそうだが、体重を精密に計る技術がないとできない仕組みであるため、こうした採尿量を計る仕組みは今までなかったとしている。しかし、島津製作所では精密天びんの技術を有しており、一般的な体重計では難しい精密な計量をすることができるノウハウを有しているため、このたび応用を試み実用化が可能になったという。

この仕組みを活用することで看護師の業務量軽減や患者側のストレス軽減につながればとブース担当者は語っていた。