アステラス製薬と三井不動産は、三井不動産が運営する「三井リンクラボ柏の葉1」内に、アステラス製薬のオープンイノベーション拠点「TME iLab」を2023年10月より開設することを発表した。

  • 三井不動産が運営する「三井リンクラボ柏の葉1」。

    三井不動産が運営する「三井リンクラボ柏の葉1」。

がん治療薬などの革新的な医薬品を継続的に創出することを目指すためには、他分野における最先端の科学技術を結集し、それらを組み合わせながら研究開発を行うことが求められる。

三井リンクラボが位置する柏の葉エリア(千葉県柏市)は、国立がん研究センター(国がん)をはじめとする先端利用施設や学術機関が近接した地域で、官民学の連携による実証実験なども行われている。

  • 三井リンクラボが位置する柏の葉エリアには、官民学のさまざまな機関が近接している。

    三井リンクラボが位置する柏の葉エリアには、官民学のさまざまな機関が近接している。(出所:三井不動産)

そこでアステラス製薬は、柏の葉エリアに拠点を置くことで、そのメリットを最大限に生かしたコラボレーションを進め、難治性がんにおいて課題とされる「がん微小環境」に関する新たな知見の獲得、およびそれを基にしたイノベーションの創出を目指すとする。

今回同社が三井リンクラボ柏の葉1に設置するTME iLabは、正式名称を「Tumor MicroEnvironment(がん微小環境) imaging and interactive research for innovation」としており、開設以降は「臨床検体の持つ、がん微小環境の特性の解明」「臨床情報から有効な治療法を選択するためのバイオマーカーの特定」「新たな治療標的となる候補分子の同定」を進めるとしている。

TME iLabの利用者は、NanoString製の空間分子イメージャー「CosMx SMI」やGenomicsの空間オミックス解析用システム「Xenium」といった、最先端の空間情報解析装置が利用可能となる予定だ。

またアステラス製薬のPrincipal Investigatorも務める国がん 先端医療開発センター 共通研究開発分野の大橋紹宏ユニット長をはじめとした社内外の研究者が、積極的に議論を交わすことができるクロスアポイントメント制度も導入されている。

三井不動産は今後、2023年5月に始動した「三井リンクラボ オープンイノベーション支援プログラム」の提供を通じてTME iLabに多くの研究者が集う仕掛けづくりを行うとともに、研究者に対する研究・事業およびコミュニケーション・ネットワークのサポートを行うとする。

一方のアステラス製薬は、アカデミアやベンチャー企業などが有する知見を融合することで医薬品開発の研究を加速させるとともに、柏の葉スマートシティのエコシステムの成長に貢献していくとしている。