米AMDは現地時間の6月13日、「Data Center and AI Technology Premiere」と題したイベントを開催した。この内容はオンラインでも視聴可能であるが、開催に先立ち内容の事前説明が行われたので、この内容をベースにご紹介したい。

現在AMDは、Data Center向けにGenoaベースのEPYC CPUとAMD Instinct MIシリーズのAIアクセラレータ、旧XilinxのFPGAおよびAdapative SoC、それに旧PensandoのSmartNICおよびDPUという製品ラインナップを用意している(Photo01)。

  • こちらは既存のラインナップそのままである

    Photo01:こちらは既存のラインナップそのままである

今回はこのうちEPYCとAI Accelerator、およびPensando系NPU/DPUの新製品が発表された(Photo02)。

  • FPGAやAdaptive SoCに関しては、少なくとも事前説明では特に何もなかった

    Photo02:FPGAやAdaptive SoCに関しては、少なくとも事前説明では特に何もなかった

さてまずはCPUから。以前から「Zen 4c」というコード名で知られていた、Compute Densityを高めた新コアを搭載した「Bergamo」というラインナップが用意されている話は公開されていたが、今回これが「EPYC 97X4シリーズ」として発表された(Photo03)。

  • Photo02にも出てきたが、CCDの数は8つ

    Photo03:Photo02にも出てきたが、CCDの数は8つ。で、Photo02を見ると1つのダイにCCXが2つという構成になっているようだ。IODに関してはGenoaと共通に見える

最大128コア構成であり、説明によれば従来製品と比較して2.7倍の性能/消費電力比、それとサーバーあたり最大3倍のコンテナの稼働が可能、とされている。

もう1つの新製品が3D V-Cacheを搭載したGenoa-XベースのEPYCである(Photo04)。こちらはRyzen 9 7900シリーズと異なり、全ダイが3D V-Cache搭載のものになるため、L3の合計は1152MBと、ついに1GBを超えるL3を搭載することになる。

  • 事前説明ではSKUなどの詳細はまだ明らかにされていない

    Photo04:事前説明ではSKUなどの詳細はまだ明らかにされていないが、このあたりは後程補足されるはずだ

ちなみに今回はまだ詳細は明らかにされていないが、これ以外に通信およびEdge向けとして「Siena」と呼ばれる製品を現在開発中であり、こちらは今年後半にリリース予定となっている(Photo05)。

  • Sienaは当初Telco向けとされていた

    Photo05:Sienaは当初Telco向けとされていたが、ここに来てEdgeもターゲットに追加された

次にAI Accelerator。現在提供しているAMD Instinct MI250/250Xの後継製品としてInstinct MI300が提供されるという話は以前公開されており、しかもCPUとGPUのChiplet構成によるAPUになるというところまではすでにアナウンスがあったが、

  • ハイエンド製品はInstinct MI300Xとなる。CDNA3アーキテクチャに基づくこのMI300は最大192GBのHBM3メモリを搭載しており、例えばFalcon-40Bの様な400億個ものパラメータを持つ巨大なAIモデルを外部メモリなしに稼働させることが可能である。
  • このInstinct MI300Xを8つ搭載するAMD Infinity Architecture Platformも同時に発表される。こちらは生成AIの学習や推論などに最適とされ、今年第3四半期中に主要顧客へのサンプル出荷を開始する。
  • これとは別にInstinct MI300AというHPCおよびAIワークロードに最適化したAPUも容易されており、現在サンプル出荷中である。
  • ROCmもこのInstinct MI300X/MI300Aに対応しており、エコシステムパートナーとの協業事例も増えている 事が発表された。こちらも詳細は後程レポートしたい。 そして3つ目がDPU向けである。従来AMDのSmartNICは旧Xilinx系(=旧SolarflareのSmartNIC)をベースとしたものであったが、今回Pensando DPUを搭載したSmartNICが発表される「らしい」(Photo06)。
  • 一見するとFPGAではなさそうな気もする

    Photo06:一見するとFPGAではなさそうな気もするのだが、あるいはAlveoベースのSmartNICをPensandoブランドに統一した可能性も捨てきれない。ちょっと事前説明ではこのあたりクリアではないので、これも後程の課題としたい

加えて、そのPensando由来のSmart Switchの存在も明らかにされた(Photo07)。

  • PensandoのSwitchはP4で使える貴重な製品という位置づけになってしまった

    Photo07:Intelが旧BarefootのTofino製品の開発中止を発表したことで、PensandoのSwitchはP4で使える貴重な製品という位置づけになってしまったのが何とも

また次世代DPUである「Giglio」というコード名の製品を現在開発中であり、2023年末に出荷予定であることも同時に明らかにされた。

加えて、Pensando向けのSSDK(Software-in-Silicon Developer Kit)を公開し、P4での開発環境を提供することを明らかにしている。

事前説明では細かな話はあまり公開されなかったが、本番の講演ではもう少し詳細が公開されることになると思われる。こちらは後追いの形でレポートしたい。