独MerckとIntelは、持続可能な半導体製造を可能にするための欧州の新たな学術研究プログラムに今後3年間にわたって資金提供を行う覚書に調印したと発表した。

これにより両社は、人工知能 (AI)と機械学習(ML)を活用して、学術研究組織の協力を得て、半導体製造プロセスの革新を推進していくこととなる。これを踏まえ、Merckでは2040年までに「気候中立(クライメイト・ニュートラル、温室効果ガスの総排出量ゼロ)」を達成するという目標を追求するという。ここでの気候中立とは、半導体製造工程で排出される温室効果ガスを、その吸収量やその他の削減量を差し引いて総排出量を算出し、実質ゼロにするという環境保護への取り組みとしている。

Merckは、2030年までに絶対的な直接(スコープ1)および間接(スコープ2)の温室効果ガス排出量を50%削減し、バリューチェーン全体(スコープ3)に沿った間接排出量を2030年までに付加価値1ユーロあたり52%削減(2020年基準)する目標を掲げており、この実現には、自社の 努力のみでは難しく、外部との協業が必要としてきた。

今後両社は、2023年第2四半期より開始する予定の提案募集を通じて、欧州拠点の環境対策研究グループに資金の提供を行っていくとしており、潜在的な解決策のテーマとしては、例えば環境に優しい材料の開発、資源のより効率的な使用、化学プロセスのモデル化のためのAI活用などを挙げている。

なお、IntelとMreckは2022年11月にSEMIの提案で発足した、半導体エコシステムからの温室効果ガス排出削減を加速するために半導体バリューチェーン企業で構成される「半導体気候コンソーシアム(Semiconductor Climate Consortium)」のメンバーでもある。