住友化学は、同社の韓国100%子会社であるDongwoo Fine-Chem(東友ファインケム)が米国テキサス州に半導体製造における精密洗浄などに使う高純度化学薬品を製造する子会社(住友化学にとっては孫会社)を9月中に設立する計画であることを発表した。

新会社は設立後、早い段階で工場建設に着手する予定で、2024年度の稼働を目指すという。住友化学はこれまで日本と韓国、中国で同様の半導体製造向け高純度薬品の生産を行ってきたが、米国では初めての半導体用高純度薬品工場となる。

Dongwoo Fine-Chemは、住友化学からの技術移転により韓国内で半導体製造用高純度薬液、フォトレジスト、カラーフィルタ、光学フィルムなどの研究・製造・販売を行っているが、米国でどのような半導体材料を製造するかは公表していない。

住友化学は「当社は2022~2024年度の中期経営計画において、拡大する半導体材料需要を確実に取り込む方針を掲げ、半導体用プロセスケミカル事業のグローバルな生産体制強化を進めている。米国での半導体関連投資が活発化する中、今般、米国内にプロセスケミカル製造工場を新設し、シリコン半導体関連材料のさらなる事業成長を目指す」としており、米国で相次ぐ半導体メーカーによる新工場建設計画に伴う旺盛な製造関連材料の需要に対応することを目指している。

なお、住友化学の米国孫会社の概要は以下の通り。住友化学グループが100%出資し、会長には住友化学電子材料事業部 担当執行役員の中西輝氏が就任する予定としている。

  • 住友化学が米国テキサス州に設立する新会社の概要

    住友化学が米国テキサス州に設立する新会社の概要 (出所:住友化学)

今回の住友化学の動きは、米国政府が国家および経済安全保障上の理由から、半導体サプライチェーンの国内完結を目指し、欧州、日本、韓国などといった半導体デバイスメーカーのみならず、装置・材料メーカーに対しても米国本土への誘致活動を活発化していることが背景にあるようである。米国においては先般、CHIPS法が成立したことを踏まえ、補助金の支給が具体化しつつあることから、今後、より多くの装置・材料メーカーの米国進出が予想される。