香港のコンピュータ・IT関連市場調査会社であるCounterpointが発表した2022年第1四半期のスマートフォン(スマホ)向けアプリケーションプロセッサ(AP)サプライヤランキングによると、数量ベースでトップとなったのはMediaTek(シェア38%)であったという。
同社の同四半期の5G向けAP出荷数量は、前年同期比20%増となったという。また、Dimensity 700と900により、低価格およびミッドレンジのスマホ用AP市場を押さえることに成功したことが要因ともしている。また2位にはQualcomm(シェア30%)が入ったという。Snapdragon 700および800シリーズにより、MediaTekとは対照的に高級スマホ用APを中心に収益を確保したとする。
一方、金額ベースでは、Qualcommがシェア44%でトップとなっている。中国の主要なスマホサプライヤのフラッグシップスマホ用APとして、採用件数が伸びたためだという。また、SamsungがSnapdragonを採用したGalaxy S22のラインアップを増やしているのは、Qualcommの強さを表す出来事だともしている。数量トップのMediaTekは、金額ベースではシェア19%ほどに留まっているが、ハイエンドスマホ用AP「Dimensity 9000」が売り上げ規模の拡大に貢献し始めているという。
ちなみに数量3位、売り上げ2位はAppleで、すべて自社iPhone向けのAPによるもの。そのシェアは数量ベースで16%、金額ベースで26%と推定されるという。
スマホ販売台数で世界トップクラスのSamsung Electronicsは、モバイルAP市場でかつて、Qualcommと競合するほどの存在感を示していたが、近年はMediaTekとQualcommの先頭争いをしり目に後塵を拝す状態が続いている。同社独自APであるExynosのシェアは数量ベースでは5%で5位、金額ベースでは7%で4位にとどまったている。
Samsungは、中低価格AP「Exynos1280」を発売し、自社のGalaxy A33、Galaxy A53、Galaxy M33など5Gの普及価格帯向け機種に展開したが、一方でプレミアムモデルのGalaxy S22にはQualcommを、それ以外にもGalaxy Aシリーズの多くにMediaTekをそれぞれ採用するなど、端末の販売数に比べてチップセットでの存在感を失いつつある。韓国業界関係者の情報として、同社は2022年にGalaxy Sの普及版プレミアムモデルであるFE(ファンエディション)モデル「Galaxy S22 FE」の製造を取りやめる見込みだという。Galaxy S21 FEの売れ行きがかんばしくなかったうえに、Galaxy Aシリーズの性能が向上し、価格に見合ったメリットが薄れたためだという。
なお、Samsungは、このようAP市場での苦境を打破することを目的に、これまでのExynosに代わる「Galaxy専用」チップセットを開発することで突破口を切り開く方針とされており、どういったチップセットが登場するのか、今後の成り行きが注目される。