横浜市立大学(横浜市大)は、全エクソーム解析を用いて多数の神経発達障害症例で突然変異を解析することにより、新規の原因遺伝子の網羅的な同定に成功したと発表した。

同成果は、横浜市大大学院 医学研究科 遺伝学の濵中耕平助教、同・水口剛准教授、同・松本直通教授、国立国際医療研究センター研究所 疾患ゲノム研究部の三宅紀子部長、理化学研究所 脳神経科学研究センター 分子精神病理研究チームの高田篤チームリーダーらの共同研究チームによるもの。詳細は、遺伝学・ゲノミクス・マルチオミクスを応用して疾病の理解・診断・治療することを目的としたオープンアクセスジャーナル「Genome Medicine」に掲載された。

知的障害群や自閉スペクトラム症などを含む疾患群である神経発達障害の原因遺伝子は、患者集団で一塩基置換などの突然変異が、その確率から予想されるよりも多く見られる遺伝子を探索することで、これまでに多数同定されてきた。しかし、症例数を増すことで発見できる原因遺伝子がまだ多数残っていることも予測されている。また、遺伝子を巻き込むコピー数変化についてはその突然変異確率が知られていないため、過去の研究ではコピー数変化が考慮されておらず、原因遺伝子を効率よく発見できていない可能性があったという。

そこで研究チームは今回、神経発達障害の患者とその両親の突然変異データを可能な限り集めることを試みることにしたという。一塩基置換や小さな挿入欠失の解析用データとして、グループ独自データの1317家系、英国のDDD31kデータの3万1058家系、論文公開された突然変異を収載しているdenovo-dbデータの8790家系の合わせて4万1165家系が集積された。また、コピー数変化の解析用データとして、グループ独自データの1298家系、Simons Simplex Collectionデータの2377家系の合わせて3675家系が集積された。