国立極地研究所(極地研)は4月19日、小惑星として観測された後に2008年にスーダンに落下した「アルマハタシッタ隕石」の岩片「MS-177」を分析し、同じELグループに分類される極地研が所有する南極隕石「Asuka-881314」と比較を行ったところ、Asuka-881314が加熱作用を受けていない一方で、MS-177は衝突による短時間の加熱作用を受けていたことが明らかになったと発表した。

同成果は、極地研 地圏研究グループの木村眞特任教授、茨城大学理学部の高木阿沙子大学院生、極地研 地圏研究グループの今榮直也助教、同・山口亮准教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、日本地球惑星科学連合が刊行する宇宙や惑星科学と関連する分野全般を扱う欧文オープンアクセスジャーナル「Progress in Earth and Planetary Science」に掲載された。

アルマハタシッタ隕石は、小惑星として観測されてから地球に落下し、その後すぐ回収された隕石として知られている。このことは地球に落下してからの汚染が少ないこと、また小惑星と隕石との関係を明瞭に示すものとして重要視されている。同隕石は、さまざまな起源を持つ岩片が混合してできている角礫岩(かくれきがん)であり、岩片ごとにその組成や分類が変化に富んでいることが大きな特徴となっている。そこで研究チームは今回、アルマハタシッタ隕石の岩片であるMS-177を対象とした分析を行うことにしたという。

MS-177は隕石学的には、エンスタタイト・コンドライト(Eコンドライト)に分類され、また鉄の存在量が少ないことから、エンスタタイト・コンドライト中のサブグループのEL(Low iron)に属する。今回の研究では、同一グループに属する隕石の形成環境の多様性を調べるため、同じELグループの南極隕石Asuka-881314との比較が行われた。

ELコンドライトの特徴は、特異な鉱物がいくつも含まれていることだ。普通の隕石や地球の岩石ではケイ素はケイ酸塩鉱物に含まれるが、エンスタタイト・コンドライトでは金属鉄にも含まれる。またマグネシウムやカルシウムといったケイ酸塩鉱物を特徴づける元素が、エンスタタイト・コンドライトでは硫化鉱物にも含まれる。

これらの特徴はエンスタタイト・コンドライトの始源物質や母天体が、ほかのコンドライトより還元的な環境下で生じたことが示されているという。今回の分析でも、MS-177とAsuka-881314のどちらにもこれらの鉱物が含まれ、ELグループの特徴を有していることが確認された。