JR西日本は4月15日、人機一体および日本信号と共同で、人型重機ロボットと鉄道工事用車両を融合させた多機能鉄道重機を開発していることを明らかにした。

JR西日本の抱える経営課題の1つとして、メンテナンス業務に対する労働力不足があり、持続可能な鉄道システムの構築やメンテナンスの実現に向け、機械化による生産性の向上および高所作業をなくすことによる安全性の向上を目的に、高所に設置された多様な設備に対応する汎用性の高い鉄道重機の開発を進めているという。

今回、公開された試作機は、クレーンの先に搭載された人型のロボットがクレーンで作業箇所まで近づき、高所で現在は人力で行っている作業を、人の代わりに行うことを可能としたもの。開発コンセプトはインタラクティブな操作性であり、操縦桿を動かすとロボットも同じように動くというように操作と動きが連動しているほか、ロボットが受ける重みや反動が操縦者側にもフィードバックされるようになっているため、直感的な操作が可能であり、操作技術を容易に習得することができるという。

また、ロボットが人と同様にさまざまな部品を形状によらず持ったり握ったりできるので、多様な状況の作業で使用することができるとするほか、操縦者は車両の操縦席からロボットを操縦するため、地上にいながら安全に高所の作業を行うことができるともしている。

ただし、実際にはどのような作業に使用可能なのかについては、今後、検証を行っていくとしており、初手として、電気設備作業のうち、現在高所での人力作業となっている作業に対しての検証を行い、導入を検討していくとのことで、多機能鉄道重機の導入により、これらの作業における約3割の省人化と、感電・墜落の労働災害ゼロを目指すとしている。

今後のスケジュールとしては、2022年4月より試験機での試験の実施を開始。2024年春をめどに実用化を図り、営業線での導入を目指していきたいとしている。

  • 試作機による作業の様子

    試作機による作業の様子 (出所:JR西日本発表資料)