東京商工リサーチは1月20日、2021年上場企業「早期・希望退職」募集状況を発表した。同調査は、早期・希望退職者募集の実施を開示し、具体的な内容を確認できた上場企業が対象。対象期間は、実施期間が2021年1月1日以降、あるいは応募社員の退職日が2021年12月末までの募集としている。

2021年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は84社となった。前年の93社から9社(9.6%)減少したが、2年連続で80社を超えた。2年連続の80社超は、リーマン・ショック後の2009年(191社)、2010年(85社)以来、11年ぶりとのこと。

募集人数は、人数を公表した69社(若干名除く)で1万5892人に達した。前年の1万8635人から2743人(14.7%)減少したが、2年連続で1万5000人を超えた。2年連続で1万5000人超は、2002年(3万9732人)・2003年(1万6833人)以来、18年ぶりとのこと。

募集人数が最も多かったのは日本たばこ産業(2950人、パートタイマー、子会社の従業員含む)だった。これに、ホンダ(本田技研工業、約2000人)、KNT-CTホールディングス(HD、1376人)と続いている。募集人数1000人以上の企業は5社で、これらのうち、新型コロナが経営を直撃した観光業のKNT-CTHD以外の4社は製造業で、かつ募集直近の通期決算が黒字だったという。

業種では、新型コロナの影響が長引くアパレル・繊維製品が11社で、前年(18社)に続き、2年連続で最多となった。これに、電気機器10社(構成比11.9%、前年11社)、観光(4社)を含むサービス7社(構成比8.3%、前年6社)と続いている。

観光関連(4社)は2010年以来、11年ぶりに発生したほか、移動制限、人流抑制が直撃した鉄道・航空を含む交通インフラも8年ぶりに募集することとなった。

  • 2021年 主な上場企業 希望・早期退職者募集状況 資料:東京商工リサーチ