東京薬科大学(東薬大)と虎の門病院は6月2日、調査したすべてのニキビ患者が重症度に関わらず不安感を抱いていることを明らかにし、その不安度が高い患者ほどストレス応答機構の視床下部-交感神経-副腎髄質軸(SAM軸)が活性化していることを見出したと発表した。

同成果は、東薬大 薬学部生化学教室の佐藤隆教授、虎の門病院皮膚科の林伸和医師(部長)らの共同研究チームによるもの。詳細は、日本皮膚科学会とアジア皮膚科学会が刊行する英文学術誌「Journal of Dermatology」に掲載された。

ニキビは、男女を問わず、思春期頃から発症する皮膚疾患だ。その原因としては、男性ホルモン依存的な皮脂産生の増加が知られている(女性も男性ホルモンを産生する)。

しかし、思春期または思春期を過ぎてもニキビを発症する患者において、ストレスを悪化因子の1つとして挙げる研究者も多いという。事実、仕事や学業、人間関係などによる心理的ストレスはニキビの悪化と相関し、またニキビができることで患者の不安や抑うつ感を引き起こし、QOLを低下させる。しかし、ニキビ患者の病態と心理的ストレスとの関連性について、科学的根拠が乏しいのが現状だという。

そのような背景のもと、研究チームは今回、ニキビ患者の調査を実施。その結果、すべての患者が重症度に関わらず、不安感を抱いていることを明らかにしたほか、その不安度が高い患者ほどストレス応答機構の視床下部-交感神経-副腎髄質軸(SAM軸)が活性化していることが見出されたという。

また、ニキビ病巣部の毛包内には交感神経が興奮すると分泌されることで知られる、ホルモンであり神経伝達物質である「アドレナリン」と、その仲間である「ノルアドレナリン」に加え、それぞれの代謝産物である「メタネフリン」と「ノルメタネフリン」が存在することも確認したという。

中でもノルメタネフリン量は不安度の高い患者において有意に高値であり、SAM軸の活性化と正の相関性を示すことが判明したという。重症度に関わらずニキビ患者は不安感を抱いており、SAM軸の活性化に連動して病巣部毛包内で増加するノルメタネフリンが心理的ストレスマーカーになるという事実が新たに発見されたという。

研究チームは今回の研究成果について、ニキビ治療におけるストレス対策の必要性を示唆するとともに、ノルメタネフリンに着目したストレス性ニキビの診断法や治療法の開発に貢献するものと期待されるとしている。

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    ニキビと心理的ストレス。ニキビ患者は不安を抱えており、その不安度に応じて視床下部-交感神経-副腎髄質軸(SAM軸)が活性化され、病巣部毛包内に心理的ストレスマーカーとしてノルメタネフリンが増加する(画像中の略語はNM:ノルメタネフリン、AD:アドレナリン、NA:ノルアドレナリン、M:メタネフリン、C.acnes:Cutibacterium acnes.) (出所:東薬大Webサイト)